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高遠ユミ(yumi131ff)

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FC2小説で主にR-18作品を公開しています。ブログのテーマはエロいこともあればエロくないこともあります。作品は下のリンクよりどうぞ。


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アフリカなどで行われる残酷な女性の割礼の記事を過去に読んだ記憶はあり、今考えるとおそらくこの人が発信して世界に広めた記事ではなかったのかと思います。この習慣、読んだ当時も思わず目をそむけたくなるほどショッキングなものでした。
ソマリア出身のモデル、ワリス・ディリーの実話に元づいた映画「デザート・フラワー」(砂漠の花)

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〈あらすじ〉
ソマリアの貧しい遊牧民の少女ワリス。ラクダと引き換えに裕福な初老の男の4番目の妻となるよう父に結婚を決められる。婚礼の前夜ワリスは逃げ出し過酷な砂漠を歩き続け、首都に住む母方の親戚の元へ身を寄せる。
駐英ソマリア大使夫人である叔母の家でメイドとして働くためロンドンへ旅立つワリス。やがて祖国で内戦が起き叔母たちは国へ引き上げる。どさくさに紛れロンドンに残ったワリスは路上生活者となる。ある日知り合ったマリリンの紹介でワリスは清掃の仕事と住む場所を得る。
祖国では当たり前の割礼をマリリンが受けていないことを知り、またマリリンはワリスの受けた割礼の残酷さを知りお互いにショックを受ける。

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有名カメラマンのドナルドソンがバーガー店で働く彼女の顔に目をつける。初めは関心を示さないワリスだったが、お金になるなら、と彼の元を訪ねる。原石は磨かれモデルとして自活するようになるワリスだが不法滞在であることから友人のニールと偽装結婚する。割り切った関係のはずだったが、ワリスが有名になるにつれニールは彼女に男女の関係を求めるようになる。待ち望んだ滞在許可が下り、離婚。
堂々と世界で活躍することができるようになったワリスは「遊牧民出身のトップモデル」としてマスコミに取り上げられるが、彼女にはそれよりも語りたいことがあった。勇気を出し祖国の風習を人々に知ってもらい、このコーランにも載っていない無意味な習慣を廃絶するよう世界に呼びかける。

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ワリス:リヤ・ケベデ
マリリン:サリー・ホーキンス
テリー・ドナルドソン:ティモシー・スポール
ニール:クレイグ・パーキンソン
ハロルド:アンソニー・マッキー

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↑ ユニセフのCMそのもののような風景

「あなたは切られなかったの?」

女性は割礼を受けて当たり前という環境で育ったワリスがマリリンに問う。

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他国の風習を否定し先進国の考えを押しつけることが必ずしも正しいわけではないけれど、このFGC(Female Genital Cutting=女性器切除)には憤りを感じますよ。私が過去に読んだのは、外陰部を切り取り、性交時に激しい痛みを感じさせることで女性の性欲を抑える(=不貞を働かないようにする)って、それだけでもなんじゃそりゃ! と怒るところですが、FGCのやり方も複数存在するようで、ワリスが幼少時に受けたのはなんと、クリトリスと小陰唇・大陰唇を全部切り取ったうえ排尿のための小さな穴だけ残しアソコを縫い合わせるという、聞いただけで血の気が引いてぶっ倒れそうな処置。
しかも、結婚初夜に花婿がそこをナイフで開いて性交するって、もうキチガイ沙汰としか思えない。そんな恐ろしい新婚初夜って何? そこまでして守るものって何? ここまで女を物扱いする文化、身の毛もよだつ恐ろしさ。
男性の割礼もあれはあれで問題があるようですが、包皮だけ切るのとエライ違いがありすぎて、人権無視もいいところ。こんなこと誰が始めた、出て来い、オラー!!

FGCの主な種類は、
① クリトリスを切る。
② クリトリスと外陰部の一部、または全部を切る。
③ がワリスの受けたクリトリスと外陰部を切り取り縫合する、というパターンらしいですが、

切る理由として、まず小陰唇や大陰唇を切ると性交の際すべりが悪いので非常に痛みを伴うらしいのです。先程も書いたように「セックスは女性にとって辛いもの」と感じさせることで貞淑を守らせる。特にクリトリスは快感を得る以外に特に役割のない器官なので「悪いもの」として切除する。
あのなあ。体に「不要な器官」なんてないのだ。快楽のための器官があるなら、快楽を知る権利があるのだ。

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不衛生な刃物で麻酔もなしに切除し、雑に縫合することから感染症や出血多量で命を落とす少女も多数。さらにワリスのようにアソコを閉じている場合、排尿や月経にも当然困難をきたす。

ある日、激しい痛みを訴え病院に連れて行かれるワリス。彼女の局部を診て驚く医師が手術を勧める。まだ英語が拙い彼女のためにソマリア人の医療スタッフを呼んで通訳させるが、そのソマリア人男性が通訳するふりをしてワリスに言う。
「股をひろげて白人男に見せたのか。しきたりに従え。親や祖先や伝統を裏切ってまで手術したいのか、恥さらしが」
FGCもショックだけど、この言葉はもっとショックでした。先進国に住み、医療に従事していてさえこの考えが変わらないなんて。

結局手術を受け(もちろん切り取られた部分は戻せない)モデルとして飛躍。
母国の女性たちには考えられないような肌を露出させた衣装をまとい、そしてヌード撮影にも挑戦。

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親元から逃げ出し、叔母が駐英大使夫人だったからそれを頼りに国を出られて、バーガー店で有名写真家にスカウトされるなんて、ラッキー中のラッキー。そんな機会など無く耐えるだけの女性が圧倒的に多い中、まるでシンデレラストーリーですが、自立して裕福になるだけでなく、勇気を出し世界に向け悪しき習慣を訴えたワリス。そしてFGC廃絶運動の国連大使となる。神がいるとしたら、まさにこれこそがワリスに与えられた役割だったのでしょう。

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先進国がいつも正しいわけではないし、大切にすべき自国の文化だってもちろんあるでしょう。でも女として、そんな国に生まれなくてよかった…。
実情としては今もまだ世界のあちこちでFGCは行われています。先進国へ移住しても自分の娘にこの「儀式」を受けさせる人は多いそうです。
FGCに限った話ではないのですが、「これが当たり前、これが正しい」と言い聞かされて育つことって、なんて恐ろしいのでしょうか。

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↓ 本物のワリス・ディリー 
彼女を見出した写真家はテレンス・ドノヴァン

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「昼顔」


タ・ク・ミ。
観てきちゃったよ。
最近キミが出ている映画はあんまり観ていないけれど、「昼顔」はやっぱりキミの出世作だし、スクリーンで観たほうが綺麗なシーンあるかも、と期待して行きました。

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〈あらすじ〉
三年前、「二度と会わない」という誓約書にサインし別れた二人。裕一郎は妻の元へ帰り、紗和は夫と離婚し海辺の町・美浜でひとり暮らしを始める。ある日、蛍についての講演会で裕一郎が町に来ることを知った紗和。再び惹かれ合う二人。蛍の観察を言い訳に美浜へ出向くようになる裕一郎だが、夫の様子に不信感を抱く妻・乃里子は──。

笹本紗和:上戸彩
北野裕一郎:斎藤工
北野乃里子:伊藤歩
杉崎:平山浩行

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あんなに大騒ぎして別れたけれど、再会した途端高校生カップルみたいなスイッチが入る二人。誰もいない緑に囲まれ、手も握らずに過ごしますが、上戸彩のちょっと拗ねたり甘えたりするセリフが憎らしいほど可愛いくて、演技というより素の上戸彩はこうやって男を落とすんだな、きっと。(紗和として見ると修羅場も喉元過ぎればな能天気な感じ)
ベビーフェイスと華奢な体に裾ロールアップのジーンズとか、一見幼くて頼りない感じが男心くすぐってたまらないんだろうな。

宣伝でタクミと二人でいろんな番組に出ていたけど、バラエティーで子供みたいに無邪気な大笑いしてる上戸彩が本気で可愛くて嫉妬しました(笑)

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我らがタクミもこれでブレイクしただけあって、バリバリのビジネスマンや芸術家みたいな役よりも、ちょっとドンくさい北野先生がやっぱりハマっているようです。
そんな北野先生がラブシーンだけはやけに手馴れたエロさで可笑しいのですが、いやいやいや、普段おとなしくて真面目だけど恋愛場面ではびっくりするほど情熱的な人いるいるいる、北野先生もきっとそういうタイプなんだよ、と言い聞かせながら観てました。

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そう、何か違和感があるのは、設定は「不器用」なはずの世間知らずの元主婦・紗和と真面目な教師・裕一郎が恋愛に馴れている感満載というか、もともとモテて恋愛経験豊富な上戸彩と斎藤工の素顔が出ちゃってる感でしょうか。
そういう違和感は置いといて、星空の下で仰向けになってのキスシーンがとても綺麗でした。

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周囲の人々の「不倫した女」への手厳しいこと。世間体として不倫を肯定するわけにいかないという製作サイドの目一杯の気遣いでしょうか。ある女性が紗和に、「女は自分にできないことやってる女が大嫌い」だという。

平山浩行演じる杉崎、これ絶対もっと紗和に絡んでくると思ったのに、説教? 紗和と裕一郎が再会する前にもうちょっと紗和にアタックかけて欲しかった。(再会があっけない)裕一郎とモメる一瞬の隙に割り込んで紗和を誘惑して欲しかった。
レストランのオバちゃんも、実はその杉崎が好きとか、過去に何かあったとか、もっと絡んでくるかと思ったのに、中盤ちょっと中だるみ。乃里子さん、二人をもっといじめてください、と思うほどでしたが…。

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映画が終わって、近くに座っていた若い女性二人連れの感想も、「まあ奥さんの身になったら仕方ないよね」でしたが、中身がとっくに壊れていても夫婦という形にしがみつくって悲しいですね。もちろん自分が奪われる側だったら、形だけでもしがみつきたい気持ちはわかります。

「不倫」というと白い目で見る人が多い割にヒットしたこのドラマ。かつて王子様だった夫のお腹が出て頭が薄くなり倦怠期になり、女性は第二の王子様を心のどこかで待っているのではないでしょうか。で、王子様を見つけちゃった他人が妬ましくて仕方ないのです。

ぶっちゃけ映画館で観る昼メロみたいでしたが、風景が綺麗でした。海はどう見ても神奈川っぽいけど、山は違うような。「美浜」って一体どこ? アジフライがやたら美味しそうに見え、アジバーグとかやたら鯵押しで、もしかして聖地巡礼を見込んで名産タイアップ? と思いましたが、ロケ地は複数あり、海はやはり神奈川、山は埼玉、駅は静岡だったそうです。
紗和が着る昼顔模様の浴衣も綺麗でした。

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【斎藤工関連の過去記事はコチラ】
「無伴奏」
写真集発売&握手会
「欲動」
「春琴抄」
「BOYS LOVE]
タクミであそぼ

今回も、有名だけどきちんと観たことがなかった映画です。
「薔薇の名前」。

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過去にたまたまテレビつけたらやっていたのを終わりのほうだけ観て、ミステリーの謎解きの部分だけ知ってしまい、物語の前半を知らないという最悪なパターンで長年放っておいたのですが、このさい全部観て見ようと。
やっぱり面白いですね。中世の修道院の薄暗く湿っぽい雰囲気に、ヨーロッパらしいエログロ要素。主演はショーン・コネリー。その弟子の役のけっこう可愛い男の子は誰かと思ったら、クリスチャン・スレーターなんですね。若くて初々しいではありませんか。

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そして殺人事件が起こる修道院に後半登場する異端審問官ベルナール・ギー。あら? この人、ごく最近よく見ている気がするんですが。 「ホームランド」のダール・アダールにソックリ。でも「薔薇の名前」って30年ぐらい前の映画ですよね? なのにルックス変わっていない? 親子? 他人のそら似? で、検索するとやっぱり同一人物でした、
F・マーリー・エイブラハム。

↓ 30年前(左)、最近(右:「ホームランド」)

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1939年生まれ、現在77歳らしいです。
変わっていないと思ったのは髪型のせいですか。

なんと「アマデウス」でサリエリを演じた人だったんですね、それも初めて気づきました、いやー、アダールのおっさん名優じゃありませんか。

↓ 「アマデウス」でアカデミー主演男優賞受賞

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「アマデウス」も少し前に久々に観たけれど、これも何度観ても面白いのは、天才モーツァルトに嫉妬し苦悩する秀才サリエリの心理描写が見事だからに他なりません。
しかしなんと当初この作品では端役の予定で、台本の読み合わせでたまたまサリエリの代役を務めたところ、その演技力の高さを認められ主役に大抜擢されたとか。もとはサリエリ役は誰の予定だったんでしょうね? 正式に決まっていた役者がいたなら、「たまたま」スケジュールの都合で欠席した読み合わせで役を取られて、サリエリ並みに悔しかったでしょうね。

音楽にひたすら敬虔な愛を注ぎ真面目に生きてきたサリエリの前に現われる、破天荒なモーツァルト。その才能に憧れながら、やがて醜く嫉妬に狂ってゆくサリエリ。
音楽家は楽器で弾かなくても初見の譜面を頭の中で演奏できるようですが、映画の中でサリエリがこっそり手に入れたモーツァルトの譜面を読み、曲の素晴らしさに圧倒され酔いしれて、手から譜面がザーッとこぼれる場面が印象的でした。素人には絶対できない、そんなこと。

出演作品をざっと調べると、最近では2014年のコメディ映画「グランド・ブダペスト・ホテル」にも出演していたのね。これも大好きな作品で、今ごろわかって少し嬉しくなりました。

「薔薇の名前」に話を戻すと、この本を使った殺人方法はたぶんミステリーの定番になったみたいで、中世を舞台にした他の作品の中にも登場するのをときどき見かけます。
今ごろ原作を読んでみたい欲に駆られました。映画公開時に原作もベストセラーになっていた気がしますが、いまだに文庫化されていないとはどういう事情なのでしょうか? 「ダ・ヴィンチ・コード」的な宗教の謎解きがふんだんに登場し難解らしいです。

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女っ気のない修道院に食べ物を求めもぐり込む村娘。お尻の後ろから撮るラブシーンが思ったよりエロくて、娘もグイグイ積極的。けれど貧しい娘のベタベタの髪や真っ黒な体がどうも不潔そうに見えてしまうのでした、ごめん。

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笑いは悪だ、という不健康な思想。楽しく笑うのは精神的にも肉体的にも良いことであるけれど、他人を笑う嫌な笑いというのも確かに存在します。誰かを傷つけて笑うという不快な行為のことを悪というなら確かに悪かもしれません。


↓ スタートレックにも出ていたらしいF・マーリー・エイブラハム
特殊メイク映えしそうな顔立ちだもの

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カッコイイおじさんですね

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「美しき諍い女(いさかいめ)」、この映画も有名だけど観たことないなー、と録画してみたらなんと約4時間もある作品と知ってビックリ。
平日の寝る前3回ぐらいに分けて観ましたが、長い割に飽きはしなかったです。
なぜそんなに長いって、ベルナール・デュフールという実在の画家が絵を描く場面の手を吹き替えているようで、本物の画家が下絵やデッサンを描く様子が延々映し出されるのです。私は興味深く観ましたが、この長さが賛否両論あるようで、絵に興味のない人や、映画館で観るにはちょっとキツイのかもしれません。
91年フランス

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〈あらすじ〉
画家ニコラは恋人マリアンヌを伴い、プロヴァンスの古城に暮らす有名画家フレンホーフェルのもとを訪れる。フレンホーフェルはかつて妻のリズをモデルに「美しき諍い女」という作品に挑んだが、未完に終わっていた。彼は、若く美しいマリアンヌをモデルに再びカンバスに向かう。画家とモデルの、緊張感に満ちた戦いのような日々が始まり──。

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〈キャスト〉
フレンホーフェル:ミシェル・ピコリ
マリアンヌ:エマニュエル・ベアール
リズ:ジェーン・バーキン
ニコラ:ダヴィッド・バースタイン

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エマニュエル・ベアールは老けてからの作品を観たことがあり、若い時はどれだけ綺麗だったのかと期待していたら、正直それほどでも?? 外向きのオッパイに、洋梨型のどっしり重そうなお尻。しかし老画家が、今どきの若いもんの姿勢の悪さを叱責し脱臼しそうなポーズを強いてゆくうち、あるときから急に美しく見え始めたのです。

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「この見かけの内面にあるものを知りたい」

絵のモデルを最初はニコラへのあてつけ気味に引き受けたマリアンヌに、途中からモデルとしてのプライドが芽生える。再び筆を投げ出しかける画家との力関係が逆転してゆく。
張りつめたアトリエの外では、恋人の心配をするニコラ、そして画家の妻リズ。
かつて画家のミューズだったリズは、若さを失った自分ではインスピレーションを与えられないのは仕方ないと悟った様子でタルトなんか焼いているけれど、心中穏やかでない。彼女の仕事が鳥の剥製師という、美しさと若さを永久に保存する願望の表れのようにも思えます。
リズ役がジェーン・バーキン。あたしだって若い頃は負けないくらい綺麗だったのよ、という声が聞こえてくるような。
若い女の子と恋バナ。失恋した元カレの髪を張り付けた人形に針を刺したことがある、と意外に陰湿な昔話の告白。(実を言うと私もやったことがあります)

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モデルとして本気になったマリアンヌ。画家とやっと気持ちが一つになったかと思ったところでフレンホーフェルが取り出してきたのは、以前リズをモデルに描きかけたカンバス。前のモデルのイメージが必要なのかと落胆するマリアンヌ。そして自分の顔を塗りつぶされた上に新しい絵が描かれていることに傷つくリズ。

「答えを知ると失望するものね」
「そう言うのは、絵ができたら失望するから?」

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リズがいう。「出来上がった絵は見ないほうがいいかもね」
なぜなら、「美しき諍い女」はモデルの内部をさらけ出す絵だから。

出来上がった絵を、画家は壁に塗り込めてしまう。
試作の一枚を完成品として内輪の完成パーティーが開かれる。収集家はネームバリューのある画家の絵さえあれば文句はないのでニコニコ顔。結局、真実を描いた本物の「諍い女」を目にしたのは画家とモデル、リズ、そして絵を隠すのを手伝った使用人の娘の4人だけ。残念ながら私たちもその絵を見ることはできません。

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夏はよいけど冬は冷えそうな古城。
作品中ほぼ裸のエマニュエル・ベアール。
この手の作品にボカシは興醒め。
ぜひ無修正版でご覧ください。


↓ やや非対称な顔が色っぽいんだなエマニュエル・ベアール

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↓ こちらは若い頃のジェーン・バーキン

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先日のソール・ライター展で行ったbunkamuraで、
「ART of ROCK & GRAFFITI」という展示をやっていて、ついでに観て参りました。
ジェイミー・リード、バンクシーなど、洋楽ファンであれば名前は知らなくてもおそらく作品は見たことがある、というアーティストたち。

↓ 中でもレッド・ツエッペリンのCDジャケットで見たとき、古いマッチ箱みたいなデザインがとても好きだった、このデザイナーの名前を初めて知りました、シェパード・フェイリー。

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作品を検索してみると、この人のテイスト好きですねー。

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パワフルで、なんだかメッセージ性が強いものも多い。

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↓ セックス・ピストルズのアルバムデザインを手掛けていたジェイミー・リードも作品は有名な割に名前は今まで知りませんでした。

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↓ ジェイミー・リードとシェパード・フェイリーのコラボらしい

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5月30日まで開催しているようです。

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ソール・ライター展に行って来ました。
ぜんぜん知らなかったのですが、このごろ書店に行けば写真集が積まれ、たまたまつけたテレビでも展覧会が報道されていて、これは観に行けということかな、と行ってきました。

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↑ 「床屋」

書店でなんとなく見たときは、ノスタルジックでお洒落、スタイリッシュという印象だけでしたが、展覧会HPで、「ファッション写真で認められるも、自分を売り込むことを美意識が許さず、ある時期から忘れられた存在に~」という来歴を読んで興味が増しました。

〝雨粒に包まれた窓の方が、私にとっては有名人の写真より面白い〟

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↑ 「雪」

クリエイティブぶった最先端の人ではなく、むしろ名声に興味がなかったようで、人物についての知識で作品の印象もまた変わるような気がします。

写真に添えられた「発色現像方式印画」などの技法はどういうことかさっぱりですが、デジタル画像のくっきりした色を見慣れたこの頃、フィルム写真の色調が目に優しいです。
もともと絵を描きたかったらしいソールの色彩感覚は抜群。

↓ 「タクシー」
 
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↓ 「赤信号」

Dont Walk

私がちょっと驚いたのは、カラー写真が出た当時、カラーはモノクロより下だと思われていたということです。確かにモノクロはカッコ良くて私も好きなのですが、てっきり「カラー」という新しい技術のほうに人々は群がって、モノクロは古臭いと思われていたのかと思ったら逆だったんですね。

〝私はモノクロ写真のみが、取り上げる価値のあるものだと信じている人たちが不思議でならない。美術の歴史は色彩の歴史だ。洞窟の壁画にだって色が施されているのだから〟


↓ 「郵便配達」

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働く人たちの写真が素敵でした。
「掃除夫」、「郵便配達」、「モンドリアンの労働者」、「看板のペンキ塗り」など、特に高齢者の黙々と働く後ろ姿が印象的です。

〝人間の背中は正面より多くのものを私に語ってくれる〟

↓ 「看板のペンキ塗り」

sign painter

↓ 「モンドリアンの労働者」

Mondrian Worker

高架鉄道や板の隙間から普通の人々の日常を除く構図が特徴的なようです。

↓ 「板のあいだ」

Through boards

ここにある画像の他に、「待つ女」、「463」、「T」、「荷物」、「灰色を背景にした青信号」などが好きでした。
観ていると思わず自分もスマホを手に街を撮りに出かけたい気分に駆られます。

〝見るものすべてが写真になる〟

〝重要なのは、どこである、何である、ではなく、どのようにそれを見るかということだ〟

展覧会を見終ったらちょうど上映中のドキュメンタリー映画が始まる少し前で、こんなタイムリーなら観て行くしかないな、と6階へ。
インタビュー嫌いと聞くとさぞ厭世的な気難し屋かとおもいきや、映画の中の本人は大切な人との時間を一番大事にしてきた、気さくに微笑む人でした。散歩がてら街中の人々を撮影する様子がありましたが、そりゃあ撮影者が気難しかったら被写体をくつろがせることもできないわけで、自然な表情をそのまま写し撮るにはカメラマン自身が自然体でなくてはできないことですね。

↓ 「映り込み」

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撮影当時80歳を過ぎていたソールの口調があまりに穏やかで寝不足の私は途中で落ちそうになりましたが、重みのある言葉にときどきハッとしました。

ユダヤ教のラビを父に持ったソールは、子供の頃の家庭環境を、「優しさよりも、偉大さや知識が重んじられる家だった」と語ります。
ふと私は、偉大さや知識よりも優しさのほうが大事だと頭ではわかっているのに、ふだん優しさよりも偉大さや知識のほうを優先しがちなのではないかと我が身を振り返ります。

写真展には女性のヌード写真もあり、中でも「ソームズ」という女性の写真が印象的でしたが、それがソールの長年の伴侶ソームズ・バントリーという女性だったようです。挑発的な瞳が魅力的で、映画の中では彼女の子供時代の写真を取り出したソールが「さぞ可愛らしい女の子だっただろう」と微笑んでいました。(映画撮影時ソームズは既に逝去)

〝私が写真を撮るのは自宅の周辺だ。神秘的なことは馴染み深い場所で起きると思っている。なにも、世界の裏側まで行く必要はないんだ〟

「フレンズ」や「セックス・アンド・ザ・シティ」を観ても、ニューヨークへ行きたいとはあまり思ったことがありません。ゴミゴミして気取っていて、でも住んでいる人にとっては魅力ある街なのでしょう。満員電車にうんざりしながらも東京が好きな私はなんとなくそう思います。

↓ 「天蓋」

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映画が終わって外に出るともう日が暮れていて、駅周辺では白人の観光客たちがスマホを上にかざし、私にはうんざりする渋谷の街並みを興奮した面持ちで動画や写真に撮っているのでした。

写真家ソール・ライター展 
Bunkamuraザ・ミュージアムで6月25日まで
(映画の上映は6月2日まで)

↓ 作品集



↓ 会場で上映中の映画
「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」




美しさと、時にアホっぽさを競うアメリカズ・ネクスト・トップ・モデル、シーズン23中盤です。
今回は女性ばかりに戻ったようです。

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初回はみんな似たような子ばっかに見えるのですが、ふるいにかけられるうち磨かれてゆくのが見えて楽しいですね。個性的な子ほどキャラクターも強烈で、世間で活躍してるモデルもこんなウザい子ばっかりなんだろうか?? と疑いたくなるほどです。
司会がリタ・オラになり、こうしてみるとやっぱりタイラ・バンクスは多少オバサンになってもあの豊かな表情、カリスマ性あるなあ。

↓ ルックスで私が好きなのはまずコートニー。

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髪をマリリン・モンロー風に切ってから本当に綺麗。性格は問題ありで揉め事多し。とうとう審査員にも人柄を指摘されましたが、人格に難があっても綺麗なものは綺麗で。

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脊柱側弯症で苦労したことが人を信用しない性格を形成してしまったのでしょうか。あのままでは現場で嫌われて仕事がもらえなそうなので、今後変わるか変わらないか楽しみですが、しかし審査員が言うとおり、「美女にも見えるし、ハンサムな男性にも見える」美貌が私は好きです。

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↓ インディア

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初回は特に印象に残らなかったけど、髪をパープルに染めてからメキメキ頭角を現してきました。奔放そうに見えてヌードが苦手という一面が意外でしたが、それでも思い切ってやり遂げた。

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↓ 染める前の写真写りも好きです。
レトロなグラビアモデル風がイイ感じ。

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↓ ペイジ
初回の自己紹介ではとっても「痛い優等生」感満載でしたが、写真写りは良い。

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彼女も最初は特に個性的に思えなかったけれど、センス良いし、素直なので飲み込みが早く伸びしろが大きい。

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オープニングの元気いっぱいの画像がペイジらしくて好きです。

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↓ カイル
Xジェンダーの「彼女」というべきか「彼」というべきか。

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涼しい瞳、薄いくちびるに透けそうな肌。初回からスターという子と恋に落ちそうだったのに、彼女があえなく敗退。そしてまた別の子といい雰囲気になりそうで、クールに見えて恋多きキャラクターのよう。魅力的なんだけど、私服のセンスはあまり好きじゃない。バンダナとかティアドロップのサングラスとか、リバイバルなのか古臭いのか微妙であんまりお洒落に見えないんだな。80年代の「イモっぽい」という表現が似合ってしまうのが惜しいですが、魅力あると思います。

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↓ この写真はコリーアン(左)も綺麗だったね

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↓ チェリッシュ

この人のモデルらしい顔つきが好きだったけど、残念ながら敗退。

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バージンヘアー(パーマもカラーもしたことがない)の赤毛にこだわりすぎた。こだわるのは悪いことじゃないけど、モデルならカラーリングぐらいできないと。イメチェンの回を受け入れられない人は落ちる法則。


↓ 色気過剰を指摘され続けるクリスリアン。
男性誌はイケてもモード誌は無理と言われ続け、自撮りの回で見事挽回するもまた同じ過ちを繰り返す。

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↓ これはとても洗練されてて良かったのに。

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今回は黒人勢があまり魅力を感じないなあ。
ビンタも双子もコートニーのこと言えないぐらい性格悪そうなんだけど。

↓ ビンタ 
写真の出来はいつも素晴らしいんだけど、性格が激しすぎてぜんぜん好きになれないわ。

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カイルとはまた違う「中性的」な双子のゴツイ顔もあまり好みじゃない。(一人は敗退)

タチアナやマリッサも器用でセンスいいけど、どちらもあまり好みではないです。
↓ オープニングのこのマリッサの写真は好き。衣装がとても似合って素敵。

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↓ ゲストでゼンデイヤが出ると、これぞ売れっ子モデルというオーラがあってカッコイイな。

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画像検索してたらまたもや結果を知ってしまいましたが、過程を楽しむ番組なので、今夜も楽しく観ようと思います。

アメリカズ・ネクスト・トップ・モデル23 
FOXチャンネルで日曜19時から放送中

アメリカズ・ネクスト・トップ・モデル シーズン22はコチラ

↓ 美女二人 インディアとコートニー

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以前からネット上で話題になっていた本を読みました。
人気ブロガー・こだまさんの「夫のちんぽが入らない」
このタイトル、そりゃあどんなものか皆さん一回はお手に取ってみたいはず。書店で手に取るのは恥ずかしいがチラ見もしないでネットで買って、タイトルで釣られたけどハズレだったらどうしよう、とまだ躊躇している方、読んで損はないですよ。
その衝撃的なタイトルも目立たないよう気遣いの行き届いた装丁になっているので私は書店で買いました。

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文学フリマからネットでじわじわ話題になったらしいですが、あら、その時の文フリって私も参加した回じゃなかったかしら。あれっきりになってしまったけれど。

で、内容はというと、
ド田舎の出身で大学進学のために一人暮らしを始めた「私」。
子供の頃から人付き合いが苦手で登校前に激しい腹痛を起こすほどだった「私」が、安アパートで出会った彼とは驚くほど自然に一緒にいられた。ほどなく交際がスタートするが、セックスに及ぼうとするとなんと文字通り彼の「ちんぽが入らない」。
二人なりにいろいろ試行錯誤するがやっぱり入らない。入らないまま絆は深まり、やがて二人とも教員として就職、結婚。やはり入らないままで。「子供はまだ?」のプレッシャーに耐えながら、教員としてステップアップを目指し別の小学校へ。
しかしそこで待ち受けていたのは学級崩壊。なんでも分かち合ってきたはずの夫に仕事の悩みを話せない。過度のストレスから死を意識し出したころ、インターネット上に思いを吐き出すようになり、そこで知り合った男性と肉体関係を持ってしまう。
夫以外の男性とならセックスできたという衝撃の事実。少なくとも肉体的に欠陥があるわけではないと判明したものの、夫婦間のセックスはできないことに変わりなく、夫はどうやら隠れて風俗に通っている様子。「私」は苦しいことが重なると、「君は大丈夫」という言葉を求め知らない男性と会うようになり──。

と書くと「ミスターグッドバーを探して」のような、「昼は真面目な教員の裏の顔」みたいになってしまう私で大変申し訳アイムソーリー。

若くお金のない二人が慎ましくも丁寧に積み重ねてゆく思い出の数々は感動的だし、学級崩壊のあたりではちんぽのことを忘れました。あれ、これなんの本だっけ?

読んでいるこちらが重苦しくなりすぎない程度にユーモアをちりばめた文章。

〝まるでトンネル工事の堀削員が交わす会話のようだ。山の西側で重機を操る彼がいる。山が小刻みに揺れる。土煙が舞う。東側で貫通を待つ私に無線が入る。彼はヘルメットを外し、タオルで汗を拭いながら言うのだ。
「まったく駄目だね。当っているだけ」〟
まるで安野モヨコのマンガを読んでいるような気になった。

今どき電話番号を暗記するのが得意で、山に欲情するアリハラさん。
〝雪が解け、新芽が萌える季節になると、各地の山頂に蒔かれたアリハラさんの種がいっせいに膨らむ。山々が競うようにしてクロネコヤマトや蕎麦屋の電話番号を暗証し始める。やまびこが身に覚えのない数字を返してきたならば、それは彼が交わった山だ〟

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ネットが普及している今なら、似たようなことで悩んでいる人が他にもいないか探すこともできたかもしれないが、20年前のことである。夫のちんぽがデカすぎるのか、自分の体がおかしいのか、人様には相談できないままジョンソン・ベビーオイルやローションを試してみる。(ひとつ言うなら、ちんぽより「私」のほうにたっぷり塗ったほうが良いのでは?)
最近「マスターズ・オブ・セックス」という性について研究を重ねた実在の研究者たちのドラマを観ているけれど、博士に紹介してさしあげたいほどである。

原因ははっきりわからないままだけれど、他の人とはできるなら大雑把には、「好きな相手だと緊張する」系ではないでしょうか。
ひと昔前の男の人なんかよく言いましたよね、遊び相手にならいやらしいこと何でもできるけど、本気で好きな女は汚してしまうようでできないとか。女性なら、思い入れのない男相手なら欲望のまま快楽を貪れるけど、本気で好きな彼にはそういう顔を見せられなくてイケないとか。
特に性に関して厳しい家庭に育つと、セックス=いやらしいもの・汚い行為と植えつけられるため、成長しても好きな相手であればあるほど「大切な人とそんないやらしいことはできない」と愛と性欲が乖離するのではないでしょうか。

素人の推量はさておき、読んで拒絶派も多いらしいです。なぜ? 夫以外の人に走る行為が許せない? しかしこの場合、「浮気」ですらないような気がします。むしろセックス抜きでもこんなに結びついていることは羨ましい。

だいたい、
〝誰かと一緒にいると心がとても疲れる〟
〝自分の容姿の劣りや口下手が気になって会話どころではなくなる〟
〝心の内をさらけ出すにはさらに己を奮い立たせなければいけない。緊張しないでふつうに人と話せるようになりたい。中学生になったら、高校に入ったら、いつか。そう祈りながら、気がつけば十八歳になっていた〟

↑ こんな少女が、初めてのひとり暮らしの初日に知り合った彼と三日目にはつき合ってこれが未来の夫なんて、どんだけ運命的だよ、ほんと羨ましい(笑) 

夜更けの町を男とふたりで歩いても近所の人に噂されない、親に叱られない、初めて手にした自由。

〝私の高校の同級生たちはセックスばかりしていた〟
他に娯楽のない田舎町で、わかるわかる。男のこと、セックスのことしか話題がない同級生。狭い人間関係の中で、誰それはどうだった、と事細かく耳に入ってくる中で、
〝身近な相手とセックスすることに強い抵抗感を持つようになった。そんな恥ずかしいことを恋人や顔見知りの人間とできる気がしない〟
〝どうしてもしなければいけないのなら、全然知らない人がいい〟
あっ、二度読みするとまさにここにできない理由が書いてありますね。だからといって解決法がわかるわけではないですが。

静かに降り積もってゆく二人のエピソードは、思い出のチケットやソフトクリームの包み紙と同じように丁寧にしわをのばしスクラップブックに貼られ、いつでも開いて懐かしむことができる。
これが何の問題もない交際ならのろけになってしまうところですが、ちんぽはいっこうに入らない。彼が風俗で性欲を満たしていることを知り、ほっとする反面、自分にバレないように行ってほしいと複雑な想いを抱く。

飲み会の席で、「週に何回やってるの?」と先輩に訊かれ、苦笑いでごまかしていると、酔った男子が「純情ぶるんじゃねえよ、やりまくってるくせに」と絡み、みんなも笑う。
〝私もその場はまわりに合わせて笑ってやり過ごしたが、質問が隣の女子に移ると、胸が苦しくなって黙り込んだ。もう周囲の声は耳に入ってこなかった〟

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phot:YASU

教員としても手抜きせず真面目に生徒と向き合うがゆえに精神的に追い詰められてゆく二人。人格が壊れそうになっても、セックスは外でしても、愛は変わらない。
夫が「私」を大切に思っていることは随所に感じるし、「私」も、チーズフォンデュを知らないと笑われ落ち込んで帰宅した夫に、その日のうちに材料と道具を揃え食べさせてあげる。夫が「耳の後ろが臭いって言われた」と悲しげに帰宅すると、職場の人間を「クソどもめ」と呪い登校前に丹念に拭いてあげる。

こんな二人を拒絶するとしたらそれはもうやっかみでしかないんじゃないの。子供もなくセックスもしないのにこんなに仲がいいなんて、「適齢期だから」とか「子供ができたから結婚した」夫婦よりずっと純粋ではないですか。
人気だったドラマ「カルテット」を三回目から観てハマったクチですが、チャマコのセリフ、「子をかすがいにした時が夫婦の終わるとき」は本当だと思うし、かといって子をかすがいにしている夫婦が悪いとも思わない。

表面上「普通」の結婚をしているように見えたって、果たして何が普通かわからない。セックスレスだって珍しくないし、愛しているけど性的嗜好がどうしても合わなくて、性欲は外で満たすより仕方ない夫婦だってけっこういると思うのですよ。
「コペンハーゲン」で言ってたように、愛とセックスは本当はセットになっているのが望ましい。でも残念ながら、そうでない場合も多いようです。ネット経由で「私」に会いに来る男性たちだって、普段は「普通の会社員」や「普通のお父さん」をやっているはずなのです。こんなに出会い系に群がるなんて、もしかしてあなたのご主人だってわからない。

「結婚できたんだからいいじゃないか」という短絡的な人もいるようですが、私も若いとき友達に向かって、「あんたは彼氏いるからいいじゃない」と子供っぽいことを言って、「いたらいたで大変なんだよ!」と叱られました。

〝私は目の前の人がさんざん考え、悩み抜いた末に出した決断を、そう生きようとした決意を、それは違うよなんて軽々しくは言いたくはないのです。人に見せていない部分の背景全部ひっくるめて、その人の現在があるのだから〟

ひっそりと生きる二人の愛の軌跡。

幸せな人は時に傲慢になりがちだから、
「自分は普通で健全、そうじゃない人は努力が足りない」と思う立派な人は、不完全な人をそっとしておく優しさを身につけていただきたい。

あ、これカテゴリーどうしよう。一応「私小説」になるのかな?
 「小説」にしておきます。



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