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高遠ユミ(yumi131ff)

Author:高遠ユミ(yumi131ff)
FC2小説で主にR-18作品を公開しています。ブログのテーマはエロいこともあればエロくないこともあります。作品は下のリンクよりどうぞ。


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「お父さんはもう決めたよ、今日こそは新しいお母さんを買って帰る」
「どうだ、しんとく、どのお母さんがいい?」

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舞台「身毒丸~ファイナル」のDVDを観ました。
藤原竜也が15歳ときのデビュー作にして出世作となった作品の再々演版、こちらは当時19歳のようです。

蜷川幸雄演出の舞台をそう何本も知っているわけじゃなく、しかも映像でしか観たことがないのですが、ああ、これは傑作だなあー、という一本です。濃くて、猥雑で、エロティック。

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〈あらすじ〉
亡くなった母を慕い続ける身毒丸(しんとくまる)。父はそんな身毒丸を連れ、新しいお母さんを買いに行く。新しいお母さん・撫子(なでしこ)は連れ子・せんさくを連れ家に納まるが、身毒丸はいっこうに撫子を母と認めず心を開かない。
ある日、仮面売りから不思議な「穴」をもらった身毒丸は、地面の下に眠る母に会いに行くが、母と思った女性は撫子で──。

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台本:寺山修司・岸田理生
演出:蜷川幸雄

〈キャスト〉
身毒丸:藤原竜也
撫子:白石加代子
父親:三谷昇
小間使い:蘭妖子
仮面売り:石井壇一
せんさく:笠原織人

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舞台をぞろぞろ練り歩く異形のやから。
懐かしい悪夢のような、百鬼夜行のような、これは蜷川幸雄のイメージなのか、もともと寺山修司なのか、イマジネーション満ち溢れていた時代の傑作なのでしょう。

藤原竜也も素晴らしいけど、白石加代子って凄いなあ! 「狂気女優」とかいう異名を取るのは知っていましたが、あんまりその演技を観たことありませんでした。つい最近朝ドラに出演して、朝ドラには収まりきらない存在感は感じていたものの、その個性を本当に活かした作品だとこんなにスゴイんですね。

旅芸人上がりの撫子の、決して育ちが良くはないが気の良い女の風情、仕草。母性、色気、狂気。そして、どのシーンでも見事にキマる姿形のカッコ良さ、なんなの、これ。

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お母さんというのは家の光
夕方になると家の光をつける
ご飯をこさえてお父さんと子供を待つ
お父さんと子供は家の光を目当てに帰って来て
「ただいま」と、するとお母さんは「お帰りなさい」と迎える
それが正しい家の有り方だ

わしには家という容れ物があり、職業があり、
銀行には金がある
仏壇には家系図がある
台所には小間使いがあるし、
子供部屋にはおまえという子供がある
あれがあり、これがあって、
無いのはお母さんだけだ

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昭和の時代、「家庭」とは両親と子供がそろった「普通」であることが慮られていた。「お母さん」は「お母さん」としての役割しか認めてもらえなかった。お母さんが「女」を醸し出すとたいてい厄介なことが起きて世間から白い目で見られる風潮があった。親に色事の問題があると子供がグレる原因になり、親は理想的な親として生きることが望まれた。なのに、いざ昭和の子供たちが大きくなってみると、いつまでも若く見られたがり、いつまでも現役の「女」「男」でいたがり、今どき離婚なんて珍しくない、むしろ仲が悪いまま一緒にいるほうが子供に悪影響だというのが当たり前になりました。
「お母さん」「お父さん」になっても「女」「男」を両立させることが、今では普通になりました。

それにつけても寺山修司ぐらいの年代の男性は「お母さん」を理想化し過ぎじゃないのか。お母さん、お母さんとうるさいわ(笑)

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家という容れ物と、家族という形の体裁を整えて満足する父。だがもはや性欲は失い、まだ「女」である「お母さん」撫子の欲望に応えない。良き母であろうと努める一方で、溢れる「女」を持て余す撫子の目の前に、若く美しい身毒丸の肢体。

「私はあの子の眼(まなこ)が怖い。あの子の眼の時計の中で、やがて私は老いてゆく」

身毒丸を男と意識したことから、

「眼(まなこ)つぶせば振り子は止まる」

と恐ろしい決断を下すことに。

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細かいことを深く考えずに楽しんだほうがよい舞台ですが、あの「穴」というのは、膣や産道めいていますね。穴に飛び込む身毒丸は、まるで産道を逆戻り、母の胎内へ戻っていくような。
なんといっても穴の下の冥界が妖しく猥雑で魅惑的。
このシーンの鬼気迫る白石加代子はむちゃくちゃカッコイイ! 

撫子が身毒丸のお尻をぶつ折檻シーンもまるで性行為のようにエロティックだったなあ。

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藤原竜也の、暗がりで全裸の水浴びシーン、見とれてしまう。生の舞台で目の前で見てみたかった笑。15歳のときのは映像化されていないのですかね。26歳時の再演「復活」バージョンも見てみたくなりました。

お母さんを買って、家族で舞台の奥へ向かい歩いて行くシーン、舞台にすごく奥行があるように感じて不思議。

蜷川演出他の作品で他にも上から椿の花が落ちてくるとかあったので、ああ、これお気に入りだったんだなと思う、上から白い紙や、赤いものが落ちてくる演出。まるで血が滴るようにボタッ、ボタッ、と重みを持って落ちてくる。

「もう一度、僕を妊娠してください」というセリフもなんだか衝撃的。

あと、女力士をやった女優さんは拍手喝采モノ。

音楽・歌も素晴らしい。藤圭子やコシミハルも参加していたようです。

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芝居とかあまり観ない方にもこれはおススメ!


↓ 蜷川幸雄×藤原竜也×白石加代子インタビュー映像あり



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韓国映画ってエロもグロも時に過剰で生々しくて、作品によっては引いちゃうこともありますが、これは面白かった!

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実在した暴君を取り巻く欲望の物語、復讐を胸に秘めた女、という大奥モノみたいなのはありがちですが、どんなにエロ要素を使ってもつまらない作品はつまらない。(同じ韓国の「後宮の秘密」はイマイチでした)
冒頭で、スローモションや静止画を織り込んだ暴力的なシーンがアニメやゲームっぽいな、とか、大袈裟なナレーション、このノリついていけるのか? と思うも、スピード感ある展開と随所に散りばめられたエロネタで、けっこう長いにも関わらずぐいぐい観てしまいました。
2015年韓国

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〈あらすじ〉
1505年。朝鮮王朝第10代目国王ヨン・サングン。王に取り入り思うまま権力を握ろうとする姦臣イム・サホンと息子スンジェ親子の計略により、王は血に飢えた暴君と化す。
王のハーレムを作るため国中から一万人を超える美女を集め「運平」と名付けられる。娘や妻まで奪われる家臣、甘言にそそのかされ、または強制的に連れ去られる平民の娘たち。
自身も王の寵愛を受け内命婦を預かるノクスは、イム親子から主導権を奪い返すべく、手練手管に長けた芸妓チュンメを送り込む。

旅先でスンジェは、と畜人の娘に目を留める。強さを秘めた美貌の持ち主だが、卑しい身分のため運平にはふさわしくないと判断。しかし彼女は父の借金を返すため運平入りを強く望み、身分をいつわりジョンファと名乗って参加する。

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集められた娘たちには側室候補としての教育が施され、修練を積み選抜されていく。
あふれる色気で他の娘たちに差をつけるチュンメと、孤独な暴君の深く閉ざされた心の奥に触れる力を持つジョンファ。
スンジェは、王を射止める心得をジョンファに示唆するうち、彼女がかつて父の密告により失脚したキム・イルソンの娘ダニであると気付く。ジョンファに心惹かれてゆくスンジェだが、彼女が王に抱かれる日は刻一刻と近づく。

勝ち残ったダニとチュンメに王が命じたのは、女二人で絡み、どちらが先に相手を達せられるかという戦い。勝者が王と床入りするが、その裏で王の破滅のときも近づいていた──。

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〈キャスト〉
イム・スンジェ:チュ・ジフン
ヨン・サングン:キム・ガンウ
ジョンファ(ダニ):イム・ジヨン
チュンメ:イ・ユヨン
ノクス:チャ・ジヨン

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都へ着く前に家臣たちに襲われるジョンファ。
「スイカも穴をあけて味を見るものだ」

「自ら踏み入った地獄だ。せいぜい耐えてみろ」

シリアスなストーリー中、大真面目に行われる名器の選別やアソコの鍛錬の数々が滑稽でかなり笑える。毛の濃さ、上つきか下つきか、濡れ具合、穴は王に合うサイズか、って、
↓ こんな型で試したら処女の娘さんはどうなるんでしょうか。
  (王様のサイズは真ん中だそうです)

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何かの番組でかつて日活ポルノ映画は15分に1回の濡れ場で成功したようなことを言ってましたが、この映画もそんな感じです。
スピーディで、華やかで、ちょっと下品なくらいエロくて飽きさせない。

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↓ 「美女」と呼ぶには微妙だけれどあだっぽい色香のチュンメ。

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側近による床入りシミュレーション練習(役得!)で披露する座敷唄(?)や、後半の赤い衣装の踊りがエッチで楽しくお見事。

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「玉が二つ付いた男なら股の間で転がして骨抜きにできます」


原題は「姦臣」で、スンジェが主人公ですが、なんといっても女優たちの体を張った演技が素晴らしいと思います。
ジョンファとチュンメ、才気あふれる二人の女。あでやかな舞いもそれぞれカッコイイし(剣舞はやりすぎるとゲームキャラか今どきのダンスみたいですが)、過激なシーンの数々も度胸が据わっていて観ていて胸がすく感じ。

↓ ノクスの悪女っぷりも良かったです。

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「女が先に達しなければ、男が無理をする」
「男が先に出せば後がこじれる。必ず先に達すべし」
↑ 世の中、男を立てようとするとこんなもん。

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「どうせただの肉の塊には無用の長物。邪魔な肉棒はないほうがいい。王でも女を侮辱するなら男ではない。玉のついた肉の塊です」

狂った暴君ヨン・サングン。権力の頂点で誰も信じられず病んでゆく。
気まぐれに行う残酷非道な振る舞いの数々。ラストで、こんなヤツもっと早く殺しちゃえばよかったじゃーん、と思うけど、やっぱり勢いがあるときは、イム親子のように、アホなトップを利用して美味い汁を吸う連中がぐるりと守っているから倒すのが難しいのでしょうね。暴君というのは歴史上どこの国、どの時代にもいるものですが、今でいうなら北のほうのあの人にも重なりますね。

「世が厳しい情勢の中でも女人との宴会を催したのは、次世代を産み育てる心身を確かめ、先を見通すためだ」

ほうほう、何とでも言うがよい。

「だがその範囲は都に限定され国中を見るには至っておらぬ。全土に目が行き届くよう各地の美女を王宮に集める」

↓ キーセンのヘアスタイルはやっぱりスゴイ

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王宮の内装は「女帝 エンペラー」(中国)に似た豪華さ。
「女帝」にも登場した仮面をつけたゆらゆらと奇妙な踊り。あのときはジブリかと思ったと書いたけど、これにも似たのが出てきて、中国・韓国あたりの昔の踊りなのかな。ジブリのほうが、この辺からヒントを得たキャラクターなのかも。

↓ 「美人図」にも出てきたこの韓洋折衷みたいなスタイル可愛いのよね

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好き嫌いはありそうですが、韓国モノのエロさでは「美人図」以来のおススメ度。

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2013年のスペイン映画です。
ホラーコメディ 「スガラムルディの魔女」

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怪しげな森で魔女たちが占う。
どうやら彼女たちの求めるものが近づいているようだ。

ネズミと星
ヒゲに裸の男
緑色の兵士
男の子 選ばれし者
緑の電燈を頭に載せた馬
それに、黄色いスポンジ…?

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〈あらすじ〉
妻と別れ失業中のホセは、同じく金に困っているトニーと組み、大道芸人に扮し強盗を決行。面会日だった息子のセルジオを連れ、銃撃戦の末、タクシーの運転手マヌエルと客も巻き込み、フランスへ逃亡を企てる。
セルジオを連れ戻すためホセの元妻シルビアが、そして刑事たちが後を追う。
国境へ向かう途中、バスク地方のスガラムルディを通るが、そこは魔女伝説が残る村だった─。

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〈キャスト〉
ホセ:ウーゴ・シルバ
トニー:マリオ・カサス
マヌエル:ハイメ:オルドニェス
セルジオ:ガブリエル・デルガド
グラシアナ:カルメン・マウラ
マリチュ:テレーレ・パベス
エバ:カロリーナ・バング
シルビア:マカレナ・ゴメス

↓ 「もしもし?」

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確か公開されたころ地味に話題になっていて気になってましたが、バカバカしくて可笑しかった! 

↓ こんなキリスト…

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やっぱりスペイン映画は個人的にツボに入る確率高いんですよね、
シリアスなのもコメディも。

↓ 「フランスへ行くなら、妻に遅くなると電話しても?」

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警察より元妻が怖いホセ。
トニーも、とにかくみんな妻や恋人に頭が上がらなくて、

「女は怖い。悪魔だ。夢中にさせるだけさせといて、ポイッと捨てるか、つきまとうか」
「女は自分が優位に立っていると知ったら容赦ない」

まあ男も同じですけどね(笑)
スペインの女性は本当に強そうだもんなあ。

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↑ 「…誰に教わった?」
  「ママの女性誌に書いてあったよ」


↓ 「ワオ、ホウキで何してるんだ?」
   「こんなのクラブでも見られないぜ!」

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↓ トイレから出る手より、このトイレそのものが怖いわ、穴まで遠すぎて。現代はいわゆる「洋式トイレ」がスタンダードになっていますが、古いトイレって世界各国バリエーションあってビックリしますね。田舎にはまだこんなのも残っているのかな。

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↓ 天井を走る魔女たちがゴキブリみたいで怖かった

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↓ 親子三代魔女 
真ん中はスペインの有名女優カルメン・マウラ。
クソエロかった「誰かが見ている」や、
アルモドバル監督の作品でも活躍。

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魔女たちの宴会。

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そして女神復活はなるのか??

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でも一番イカレて見えるのは、街頭でヒステリックに異教追放を唱える女性だったりするんですよね。

最後のほうはグッチャグチャです。
もうお腹いっぱい!

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チェコのアーティスト、インジフ・シュティルスキーの作品を知ったのは数か月前、大型書店で立ち読みした美術書の中でした。

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↑ (ブドウの房:「性の夜想曲」収録)

いろんなアーティストの作品を数点ずつ載せたその本のタイトルを失念し、今となっては後悔していますが、パラパラめくった大判書籍の中で印象的だったのがこの人の作品です。シュールでエロティック。
その本には確か4点ほど載っていたと思います。

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今どき性器ぐらい見ようと思えば画像も動画もいくらでも見ることができてしまう時代ですが、ボカシ・モザイク文化に育った目はどうしても露わな性器に吸いつけられてしまうものですね。
ポルノといえば丸出しが当たり前の国の人が見ると、モザイクってすごく滑稽らしい。そりゃそうなんでしょうけど。

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シュティルスキーの作品は、アーティスティックでありながら、小奇麗なオブラートにぜんぜん包まない男性的な卑猥さ、大胆なエロ、というのがインパクト大。
1899生まれ、1942年没の人なので、その当時はチェコスロバキアでも一般の刊行は難しかったそうです。

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検索したら翻訳本でネズヴァルというアーティストと共作した「性の夜想曲」という本が引っ掛かり、私が前出の美術書で見た「エミリエが夜私の許にやってくる」を収録しているのを見て即注文したのですが、収録は文章だけでした。他のコラージュ作品は載っているものの、「エミリエ」のシリーズは翻訳者の判断で載せなかったようです。

出版当時、予約者のみに販売された私家版の奥付には「未成年者の手に渡らないように保管すること」とされていたそうです。

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文章もネズヴァルよりシュティルスキーのほうがぐっと引き込まれました。文章もまたシュールで難解(翻訳が大変そう)ですが、幻想的で、軽く爪を立てられるように心に引っ掛かるのです。


「エミリエが私の昼、夜、そして夢から静かに遠ざかっていく」

「ある晩彼女の下腹部に見つけた、謎めいた歯型を思い出しても赤面はしない」

「上唇のハートの山は旧世界の戴冠式を思い出させるが、舐められるのに慣れた下唇のほうは、娼館の葉飾りのかたちを思いおこさせる」

「エミリエが罪を犯したいと思うと、子宮から干し草置場やスパイスの匂いがした」

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「エミリエは柵にもたれながら、人生を突き進んでいる。毎朝、乱れ髪で起きて、トイレへ行き、小便をし、ときには糞もし、それから松脂石けんで身体を洗う。性器に香水を振り、迷いの感覚がなくなるように、生きている者たちのなかへと急いで入っていく」

「あなたは裸で、身体を覆うのはボタンの外れたコートだけだった。この瞬間に私はあなたの生のすべてを見た。太く、勢いよく芽を出す植物のようだった。地面から伸びる二本の茎がすんなりとひとつになり、その場所であなたは萎れはじめたが、身体はすでに臍、胸、頭とともに成長し、ピンク色の愛らしい突起もあった」


夜、または、曇り空の下で見る夢のようですが、それでいて、驚くほど満ち溢れる生命力とエネルギーも感じます。
(「エミリエ」の章だけ黒地に白抜き文字になっていて、雰囲気はあるのですが、夜読むと目がチカチカしました)

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「ふくらはぎの毛が網ストッキングの下で不規則に渦巻いている」エミリエですが、西洋人女性も毛深いですよね。毛の色が薄いから目立たないけど、近くで見ると腕の毛とかごっそり生えてるもんね。

昔の知人に、見た目女子アナ系の清楚で可愛い女の子なのに、ストッキングの下でまさにスネ毛が渦を巻いていた子がいて(肌が弱くて脱毛処理ができないらしい)、一瞬ギョッとするんだけど、そのギャップがもしかしてセクシーでもあるのかなと思いました。

シュティルスキーは渦巻く脚の毛に欲情するタイプだったのか、いや、好きな相手のことなら普通は欠点とされることまで魅力的に見えたに違いありません。
ちなみにエミリエのモデルは、シュティルスキーの年の離れた異父姉で、若くして亡くなったようです。

↓ (氷の中で凍った女:「性の夜想曲」収録)

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シュティルスキーのコラージュ作品は他にもっと好きなのがありますが、私もここに載せるのをためらうぐらい性器があからさまに使われていたりして、迷ったけれど控えておきます。
検索すればいくらでも出てくるので興味ある方はググってみてください。

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ネズヴァル「性の夜想曲」
シュティルスキー「エミリエが夢の中で私の許にやってくる」
シュティルスキー「夢(1925‐1940)」収録





去年の夏、食虫植物のモウセンゴケと共にうちにやってきた小さなカタツムリを覚えているでしょうか。

 参照: 「食虫植物:モウセンゴケ」

その後、あのカタツムリはなんと一匹で繁殖し我が家で勝手に家族を増やしました。

カタツムリといえど小さいときから育てると犬猫に劣らず可愛いものです。

↓ ゼリーみたいなカタツムリの赤ちゃん

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さて、もうひとつのブログを一年以上更新せず放置していたので、そちらを飼育ブログにリニューアルしてみました。
(「ガラスの石」読んでくださった皆さま、ありがとうございました)

カタツムリのベイビーが大きくなるまでと親子・姉弟愛(?)
よかったらそちらも読んでみてくださいね!

NEWブログ: 「1ミリなヤツら」

〈あらすじ〉
離れ離れの親と子が再会する日は?
ときに、うっとおしく、だが、愛しいきょうだい
そしてまた新しい命が…?
そして、その後のモウセンゴケは?

なーんて、また更新が滞るかもしれませんが…気長におつき合いください。
よろしくお願いします。


↓ 一匹で繁殖した親 そしてキュウリ

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女性用バイブレーターはヒステリー治療のために開発された?

前回の「マスターズ・オブ・セックス」は1950年代に実在した性の研究者たちですが、今回はもっとさかのぼって19世紀の実話を元にした映画。

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〈あらすじ〉
1880年、ロンドン。
モーティマーは理想に燃える若い医師だが、時代遅れで不衛生な治療を行う医師たちと衝突が絶えない。勤務先の病院をことごとくクビになり、新しく見つけた就職先はダリンプル医師が開業する婦人科の診療所。
抑圧された生活の中で欲求不満や不安を抱え押し寄せる女性たちに、ダリンプル医師は「16世紀に普及した未亡人や修道女のための治療法」外陰マッサージを行っていた。

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技術を引き継いだ若いモーティマーは人気を呼び、ダリンプルは彼を次女エミリーと結婚させ後継ぎにと考える。エミリーは女らしく従順で理想的な女性だが、姉のシャーロットははねっかえりの問題児。貧困層の救済に明け暮れる彼女は、富裕層を相手に商売するダリンプルの悩みの種だった。モーティマーは、女性の開放と自立を訴えるシャーロットに呆れ衝突を繰り返すが、医師でさえなかなか信じない目に見えない「細菌説」を彼女が信じ、子供たちに手洗いの習慣を広めていることに感銘を受ける。
やがて連日の施術で手を痛めたモーティマーは患者を怒らせ診療所をクビに。しかし電気機器マニアの友人エドモントが発明した「電動羽根ばたき」から、手を酷使しなくて済む電動バイブレーターを考案しダリンプルにプレゼンテーション。施術は好評で前にも増して診療所は大繁盛。ダリンプルの信用を取り戻したモーティマーだが、エミリーとの婚約パーティーでシャーロットがあるトラブルで逮捕され──。

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〈キャスト〉
モーティマー:ヒュー・ダンシー
シャーロット:マギー・ジレンホール
ダリンプル:ジョナサン・プライス
エミリー:フェリシティ・ジョーンズ
エドモント: ルパート・エヴェレット

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最近聞かなくなった「ヒステリー」という言葉。そういや、ひと昔前は女性が怒ったりイライラすると、すぐ「ヒステリー」と言われていましたね。
映画のラストによると、1952年に「ヒステリー」は医学用語から抹消されたそうですが、その後もしばらくは名残で残っていたのでしょう。

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「16世紀に普及した外陰マッサージ」は、「苦痛快感反応を起こしヒステリー発作を誘発させ、子宮を正常な位置に戻す」とされていたそうで、「ヒステリー発作」とはつまりオーガズムのこと。オーガズムにより欲求不満やイライラが一時的に鎮まるという、女性向け風俗ですが、これを「治療」として行っていた試行錯誤の歴史。

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ヒステリーとは、「子宮の過活動が原因」で、症状がひどいと手術で子宮を取り出すこともあったらしいなんとも非人道的な時代。
家事に従事し、理想の型に押し込められた女性たちの形にしにくい漠然とした欲求不満。シャーロットが「あなたたちに言わせれば、女性の不眠から歯痛までぜんぶヒステリー」というとおり、女の不満をすべてひとくくりにし、本当の原因を見ようとしない。

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階級制度のあるイギリス。労働者階級のことを「底辺の人間」と呼び、彼らの手助けをするシャーロットを「恥さらし」と言う肥え太った上流階級の人々。

「知ってのとおり、女性器は男性器の挿入なくしてはどんな快感も得られない」と、なんとも男性に都合よい講釈を垂れるダリンプル。

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「過剰性欲」というのもヒステリーの中に含まれ、要は性的にもそれ以外にも、欲求を満たすと言うのは男の特権で、女性の欲求はあくまで男性に合わせるもの、それ以外は病気や異常と片付けられていたわけです。

「女は一生を家事に費やすのに、上品ぶったわがままな夫は妻を満足に愛せない」とやりこめるシャーロット。

施術中の患者を観察、「息切れ、皮膚の紅潮、まぶたの震えとひくつき」と真剣にデータを取るモーティマーはまるで「マスターズ・オブ・セックス」の19世紀版ですが、モーティマー的には大真面目に「ヒステリー」という症例に向き合っている。
真剣に描くと重苦しくなりそうなテーマをコミカルに描いた作品です。

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以前、いろんなタイプのイケメンを集めてこういう女性向け風俗店を開いたらどうなんだろうと考えたことがありましたが、堂々と風俗の看板を上げると女性は来づらいのでしょうか。まあ、ホストとか性感・出張マッサージとか似たようなサービスはあるけれど。




海外ドラマ「マスターズ・オブ・セックス」を。
実在した性の研究家、ウィリアム・マスターズとヴァージニア・ジョンソンの物語。

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〈シーズン1のあらすじ〉
1956年
ワシントン大学病院の産科医ビル・マスターズは不妊治療で評判の看板名医。本当はセックスそのものについての研究が望みだが、副学長スカリーは「そんな研究は破廉恥だ」と許可しない。
ビルの妻リビーは、不妊治療医の妻でありながら子供ができないことが悩みの種。
医療事務に入った新人スタッフ・ヴァージニア(ジニ)。美人で二度の離婚歴と二人の子供を持つ彼女に、若い研修医イーサンが目をつけさっそくデートに誘う。イーサンは性に奔放なジニに驚き夢中になってしまうが、ジニのほうは割り切った関係を望む。

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キャリアを求めるジニはビルの研究の手伝いをすることに。
初めは売春宿で娼婦と客のデータを取るが物足りず、ハンサムな既婚者で女好きの医師ランガムと美人のジェーンを説得し、こっそり実験を始める。
志願者を募り協力者は増えていくが、ビルはジニに、自分たち自身も実験に参加してみないかと提案。躊躇するジニだったが、秘密の研究が副学長の耳に入り噂の出所と誤解された彼女は、ビルの怒りを鎮めるため実験の申し出に応じる。
やがて協力者の男娼から副学長の秘密を聞いたビルは、それをネタに研究の許可を求め──。

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ジニ:「愛は肉体的執着と混同されがちです。セックスと愛は別物だわ。必ずしもセットじゃない」
ビル:「女性には珍しい主張だ」

売春婦たちの証言に、女はセックスでイッたふりをするという事実を初めて知り、衝撃を受けるビル。

「セックスに悩む患者を救いたい。失望し、困惑し、苦しんでいる女性たちに『離婚しろ』、『慣れろ』なんて言いたくない。誰も気づいていないが、セックスは立派な医学分野だ」

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テーマがセックスだけにセックスシーンも多く登場しますが、なかなか綺麗に撮ってあります。
単にセックスの研究だけでなく、複雑に絡み合う人間模様が面白い。

美しい良妻賢母型の妻に興味がないビルも、当時としては型破りな女性ヴァージニアに惹かれる。
ビルは子供時代に父親から折檻を受け、見て見ぬふりをしていた母親を今でも許せずにいるが、母親は何事も無かったように振る舞う。

ジニに友情を感じながら、夫が魅力的な彼女に惹かれてゆくのを危惧するリビー。夫に顧みられず、まるでつまらない女のように感じさせられるけど、結婚する相手を間違えたとしか思えない。裕福な妻のファッションも見ものでバービー人形みたい。

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売春婦のベティ。プライベートではレズビアンだが、裕福な男にプロポーズされ、研究の協力と引き換えに避妊用に縛った卵管の復元手術をビルに迫る。

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若くハンサムなハス先生ことイーサン。プレイボーイを気取っていたが、ヴァージニアに出会いすっかり骨抜きに。ジニのほうは彼ほどのぼせていない温度差に苛立ち、「おまえなんかただの娼婦だ」と手を上げる。ジニを忘れるため、片っ端から女性を誘うも満たされない彼に近づいたのはスカリー副学長の娘ビビアン。

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イーサンが初恋の相手だったビビアン。若いけれどしたたかで、遊び慣れているふうを装いイーサンと寝るが、実は処女だった。副学長の娘の処女を奪って青ざめるイーサンに堂々と愛を表し着々と結婚へコマを進めるが、思わぬ障害が待ち受ける。

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実はゲイである副学長スカリー。若い日のビルに語る「はみだし者に世間は冷たい。異端の道を歩むならカムフラージュが必要だ」というアドバイスはまさに彼自身の経験だった。

スカリーの妻マーガレット。夫の性癖を知らず、夫以外の男性を知らず、本当の性の歓びを知らないまま長年セックスレス。夫婦仲の悪い知人が内緒でビルの研究に参加し、実験で赤の他人とのセックスライフに満足していると聞き、自分も志願してみるも、研究対象はオーガズムを知っている人だけと告げられ、落胆。恥だけかいた帰り道、ある人物と出会い──。

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当時はまだ珍しかった女医のデポール。ガン検診の必要性を訴えるが、愛想が無く堅苦しい彼女は人間関係に苦労する。美人で要領のいいジニのような女性を目の仇にするが、実はデポール自身がガンに犯されていることを知ったジニはその社交性を活かし協力する。

この時代を生き抜くには相当偏見の目で見られたであろう自由な女性ヴァージニア。元クラブ歌手で二度の離婚歴、二児の母。男も女も巧く転がす無敵のジニも子供たちには苦労する。男たちには魅力的な女でも良い母親とは限らない。子供たちとの間にはずっと問題を抱え悩み続ける。

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「女医に見せるなんてゾッとするわ」
というご婦人方のセリフも今では「えっ、そうなの?」と思いますが、それだけ女医が軽んじられていたということですね。まあ現代の婦人科で女医が良いかというと、同じ女を扱うのにずいぶん雑な人も多いですが。


フロイトが唱えた、「女性のオーガズムは成長とともにクリトリスから膣へ移行する。膣でオーガズムを感じられない女性は未熟である」という説に疑問を持つヴァージニア。

「男の心理学者に女の性を語られたくないわ。きっとフロイトはセックスが下手だったのよ。妻の自慰を見ちゃって女を恨んでるの」

さらに、「胸の愛撫だけでもイケるときがある。フロイトなら未熟と言うわね」というジェーンの告白を聞き、オーガズムの差異の実験を始める。

↓ 小型カメラ内蔵ディルドを開発

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前述のフロイトの説はこれを信じてる男性がけっこう多くて、「入れたり出したり」で女性が達しない場合、原因は女性の未熟さにあると思い込もうとするわけですね。「入れたり出したり」をただずーっと繰り返しているうちにだんだん気持ち良くなるものだと信じているんですね、女になったこともないくせに。ならねーよ! だから女にはイッたふりが必要になるのだよ。

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舞台は50年代で、この人たちもまだまだ試行錯誤を繰り返すのですが、セックスを真面目に学問した先駆者たちの物語。セックスが、女心が、男心がわからない、という方は観てみては。

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↓ ファッションも楽しい

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けっこう前に前売りを買っておいたBunkamuraの「ベルギー奇想の系譜」、やっと行くことができました。展示物がブリューゲル展とだいぶ被っていたような印象でしたが、ボスもブリューゲルもマグリットも好きだからまあいいか、と流し見しまして、コラージュ作家M!DOR!さんの展示とか、ル・シネマ上映中の「パリ・オペラ座」とか駆け足で観まくりましたが、一番惹かれたのが、ギャラリーで開催中「夢想と断想のイマージュ」展の中の、トーナス・カボチャラダムスの作品だったのでした。

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「かぼちゃのブリューゲル」、こ、これは…、ブリューゲルのバベルより親しみを感じる。細かくみっちりと描きこまれた昭和の世界。
銭湯、市場、パチンコ屋、干される布団や洗濯物…。

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ブリューゲルの版画と同じぐらい細部を隅々までいつまでも見ていたい気にさせられる。温かみと楽しさのある作品ですね。

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「千と千尋」のお湯屋さんみたいな、現実にありえないんだけど懐かしい、夢の世界のようです。

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軍艦島とか昔の団地のような、実際にあったらプライバシーもないような密な世界ですが、日本が豊かになるもうちょっと前の、プライバシーより毎日を生きることがすべてみたいな熱気あふれる感じがほんの少し羨ましいのかもしれません。

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ユーモラスな作風、若い人なのかと思ったら70代の作家さんでした。
北九州の洋館を改装し美術館にして自ら館長をなさっているそうです。美術館へ行くとリコーダーを吹いてくれるという、なんだか自由な香りのする方ですね。

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↓ 何気にブリューゲルの「タラオ」がいます。

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↓ 谷川俊太郎とコラボもあり この組合せは楽しそう!



↓ 銅版画集「カボチャドキヤ」


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