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高遠ユミ(yumi131ff)

Author:高遠ユミ(yumi131ff)
FC2小説で主にR-18作品を公開しています。ブログのテーマはエロいこともあればエロくないこともあります。作品は下のリンクよりどうぞ。


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矢野顕子


BS「名盤ドキュメント 矢野顕子「JAPANESE GIRL」(再放送)を観ました。

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とにかくロックが好きで、テクノ系はイマイチだった私にとって矢野顕子という人は、巧いのはわかる、個性的なのもわかる、けどそんなに興味ない人でした。最近、今まで関心の無かったタイプのものが急に良く感じるのは年のせいでしょうか。
(そして今聴けばテクノでもない。ジャンルにもとらわれない)

モノクロ写真で見る在りし日の天才少女はメガネ姿で、昭和のガリ勉少女みたいなルックスだけど、ピアノは感情の赴くまま奔放で、譜面の表情記号なんて「目が悪いから見えないのよ」

ピアノのために地方から東京の青山学院高等部へ。この時代に音楽のため高校から東京へ出してもらえるなんて珍しかったのでは。しかも下宿先は当時ジャズバー「ロブロイ」を経営していた安部譲二の元である。(当時はヤクザ屋さんである)バイトでピアノを弾くアッコちゃんの写真はやっぱりメガネに、パーマをかけてみたけど今一つしっくりこない垢抜けないルックスである。でもピアノは飛び抜けてうまかった。

別のインタビューより:
「音楽だけでなく、社会人として大切なことや礼儀、女性としての振る舞いは、ホステスさんや下働きのお兄さん、安部さんのお店など、夜の世界が教えてくれたように思います。世間的には健全ではなかったかもしれないけど、私にとってはとても健全な世界だった」

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細野晴臣に紹介されたときまだ16歳。
デビューアルバム「JAPANESE GIRL」にはその細野晴臣や、あがた森魚、鈴木慶一、鈴木博文などが参加。
しかし、日本には自分とリズムの合う人がなかなか居ないと模索、ロサンゼルスでリトル・フィートとレコーディング。そのリトル・フィートが「力不足だった」といってギャラを返したという逸話があるそう。
「気球にのって」日本録音版もそれだけ聴くと充分かっこいいけれど、ロサンゼルス版と比べると、ああ~なるほど。日本人のリズムは直線的になりがちですよね。昔は「グルーヴ」っていう言葉の意味自体わからない人も多かった。

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ネットで検索すると歌声をケイト・ブッシュと比較する人が多くて、ああ、言われてみればね。いわれるまで気づかなかったけど。「パクリ」と言ってる人もいるけど、デビューは矢野顕子のほうが先みたい。けど別に、似てる・似てないはどうでもいいな。
声自体はあまり好みの声ではないのですが、ときどき心にふっと触れられるような歌声。
軽快に突き進む即興性の強いピアノはきっと二度と同じ演奏が聴けなそうな、ライブでこそ聴きごたえありそうな。

↓76年の映像だ~ 「電話線」



彼女のファンだという女優・のん(能年玲奈)が「明るくて爽快な曲や声なのに、必ずチクっと痛みを感じる。そこが気持ち良くって」
クラムボン・原田郁子はアルバム収録曲「へこりぷたあ」を、「危うい。不穏な空気。ダークでシュールな漫画を読んでいるみたい」
最近の若い人たちって表現が上手だな。なんでも「すごい」「おもしろい」しかいえない自分とエライ違いだ。

さらにネットで拾ったご意見:矢野顕子なんて全く好みじゃないという匿名の誰か:
「妙な母性があって恐怖を感じる」
わかる、それもわかる。アンチ派でもキミのそのセンスは好きだ。

その「妙な母性」がある不思議な色気に身近な男性はけっこうやられるんではないでしょうか。19歳で音楽プロデューサー矢野誠と結婚。その後は世界の坂本龍一と結婚・離婚。
坂本龍一曰く「僕は秀才。天才とは矢野顕子みたいな人」
やりたいこと、やるべきことが何なのか探し歩く人もいれば、最初から決まっている人もいる。

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音楽家というのを水のようだと思うことがあります。それぞれはっきり違う個性を持ちつつ、セッションとなると違うスタイルの人同士がすんなり溶け合う。
矢野顕子のイメージは「風」。そのピアノは飛び上がってどこまでも駆け抜ける。

↓ 別アルバムの曲ですが「ラーメンたべたい」
「男もつらいけど 女もつらいのよ
 友達になれたらいいのにね」
可愛い。この映像、森高千里に似ていませんか?



↓ 上原ひろみとのコラボ 天才×天才!
もはやラーメンはどうでもよくなる







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山本タカト


浮世絵ポップ、山本タカトの作品を集めてみました。
鮮やかに毒々しく艶めかしい。

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↓ 「緋色のマニエラ」

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↓ サロメを描くとこうなる

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↓ 「ナルシスの祭壇」

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↓ 異形の者たちにこんなに見つめられては失禁しそう

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↓ これ可愛いなあ。すごく好き。

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↓ 「身毒丸」

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↓ 「八つ墓村」

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↓ しゃれこうべとあんなことやそんなこと

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↓ 最近、宇野亞喜良と共に絵を手掛けた泉鏡花の「天守物語」が大好評のようで、まだ実物を拝見していないので手にしてからまた。

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外国から見た「日本風」の着物は中国とか他のアジア風が混ざっていてヘンなことが多いですが、私たちが勝手に思い描く西洋のドレスもあちらの人から見ると、時代や国がごちゃ混ぜだったり、そんな服ありえないとかあるんでしょうね。本当はその、時代や国によっての流行スタイルから整理したかったけど、もう画像探してる時点でメゲました。

↓ 「マリーアントワネットの首飾り」のアントワネット様。

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この時代にサングラスがあったのかどうか知りませんが、印象に残ったサングラス姿のアントワネット。

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↓ ソフィア・コッポラ版「マリーアントワネット」はガーリーなドレス満載でした。

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↓ もちろんあの軍艦ヘアーも

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↓ ルパート・フレンドが夫役をやっていた「ヴィクトリア女王 世紀の愛」こちらは外出用お帽子の数々が素敵。

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リボンを後ろに長く流すスタイル

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↓ テレビ版「エリザベス1世 ~愛と陰謀の王宮~」
先週も登場のヘレン・ミレン主演。

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ケイト・ブランシェットの映画よりこっちのほうが好きだわ。
衣装も美術も素晴らしかったですよ。

↓ 荘厳かつスタイリッシュな壁のデザイン

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↓ ボタニカルな刺繍が素敵なドレス 昆虫もいるのだ

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↓ エリザベス女王といえばこの襟

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↓ ハートの女王になってしまった

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↓ アリス・イン・ワンダーランドな感じ

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↓ この壁もまた渋い

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↓ そして何気に脇役で出演のエディ・レッドメイン。
珍しい長髪姿とお調子者っぽい役柄で売れないヘヴィメタの人みたいでした。

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ネバダ州はアメリカ合衆国の中で売春が合法化されている二つの州のうちのひとつ。免許を取得した売春宿においてのみ合法で、そこ以外での売春行為は違法になるそうです。私がそれを知ったのは、だいぶ前に「公認売春宿」という本を読んでからでした。公認売春宿の実態調査のため女性の身で売春宿に長期滞在し取材したハーバード大医学博士の著書でした。既婚者であり、女性として「売春」という職業に疑問を持っていた著者が売春婦たちと生活を共にし、彼女たちのプロフェッショナルな仕事ぶりを目の当たりにするうち、偏見がうすれ理解を示してゆく。
本はもう手元にないのですが、確か、60代で売春婦として働く女性も登場したり、売春婦同士の中でも「お客とのセックスで快感を得る」ことへの賛否が分かれるなど、面白く読んだ一冊でした。

で、この映画「ラブ・ランチ」はネバダ州で初めて公認の売春宿を経営した夫婦とそれにまつわる事件の実話と聞いて、てっきりその本のような内幕ものかと思いきや、売春宿の話はさわり程度で、夫婦の三角関係がメインなのでした。

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〈あらすじ〉
1976年。
25人の女性を抱える公認売春宿「ラブ・ランチ」を経営するチャーリーとグレースの夫婦。店の女に手をつけまくり老いてますます盛んなチャーリー。そして癌が見つかり店の切り盛りに疲れを感じるグレースはチャーリーになかなか病気のことを切り出せずにいた。
チャーリーはボクシングの興業に手を出し、ヘビー級ボクサー・ブルーサに大金をつぎ込むが、グレースにマネージメントを押しつける。しぶしぶ引き受けるグレース。ブルーサはかつて故郷アルゼンチンでスターだったが、驕りにより妻子を失った。次第に打ち解ける二人は惹かれ合い、チャーリーの目を盗んで愛し合うが──。

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〈キャスト〉
グレース:ヘレン・ミレン
チャーリー:ジョー・ペシ
ブルーサ:セルヒオ・ペリス=メンチェータ
ジーナ・ガーション

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「エリザベス1世 ~愛と陰謀の王宮~」のイメージが強くて(観てないけど「クイーン」でも女王役)気品あるオバサマに見えて仕方のないヘレン・ミレン。夫婦の会話で、「イーストウッドのつもり?」「おまえはイングランドの女王気取りか」というやりとり、わざとだろうけど笑えた。
チャーリーは「カジノ」や「グッド・フェローズ」など暴力的な小男をやらせたら右に出る者なしのジョー・ペシ。

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特徴的な顔立ちが印象的でカッコイイ、ジーナ・ガーション(最近では「エレメンタリー ホームズ&ワトソン」にもゲスト出演していた)演じる売春婦が、彼が来てから生き生きしてる、とグレースに浮気を勧める。
「いつか死ぬんだし、楽しまなきゃ」
実際に死の影が忍び寄るグレースの心に彼女の言葉が響く。

すっかり「老婦人」だったグレースが、男盛りのフェロモン溢れるブルーサと接するうち女を取り戻し、杖なんか要らなくなってしまう。リノのやり手マダム風ファッションから頭にカーラー姿まで見せてくれます。

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かつてはスターの座に登り詰め、若くて綺麗な女などよりどりみどりだったブルーサにとってピチピチガールより惹かれたのは信頼できるグレースだった。年の差を超え本当の愛が芽生える二人。

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女の子たちの70年代ファッションもうちょっと見たかった。

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↓ 宿に商売用のコスチュームを売りに来る業者。これも「公認売春宿」にも出てきて、著者も「旦那が喜ぶわよ」と周りの女の子たちにのせられベビードールを購入したと書いてあったな。こういう映画は衣装も楽しみですね。

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印象的だったのは、会計士を目指し勉強中の子持ちのメガネちゃん。素人っぽいルックスがむしろ可愛くてけっこう人気の設定。

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売春反対派の撲滅運動と戦ったりもあるのですが、売春の是非については「地獄への道は善意が敷き詰められている」の回でも述べたので今回は多くは言いますまい。前述の「公認売春宿」でも触れられていたけれど性病検査やコンドーム使用など衛生管理がなされている分、非合法の売春婦と遊ばれるよりはマシだと思うのですが…。

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「ヴィンテージ感のある回転木馬の画像が欲しい」という友人につき合って検索していると、都内で見つけました、2010年に「機械遺産」に認定されたというお馬さんたち。ジャーン、なんと、としまえん遊園地! 以前ユニークなポスターでも取り上げました。なかなかやりますね、としまえん。「機械遺産」なんて初めて知りました。

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ぜんぜん知らなかったけど、ここの回転木馬は1907年にドイツで作られ、戦争を避け、ニューヨークはコニーアイランドの遊園地まで運ばれ「黄金郷」を意味する「エルドラド」と名付けられ活躍。ルーズベルト大統領も乗ったことがあるのだとか。1969年遊園地の閉鎖とともに倉庫に眠っていたところをとしまえん遊園地がお買いあげ。目のつけどころが良いですね、このお買いもの上手!
求めていたのはヴィンテージ感でしたが、本物のヴィンテージでした。

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馬も馬車も彫刻もすべて一点一点手彫りの木製だそうです。


つぶらな瞳のお馬さん

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「メリーゴーラウンド」というより「カルーセル」と呼ぶらしいですが、もともとは馬だけでなくいろんな動物もアリだそうで、ここではブタさんも混じっています。

「ブヒー、馬と同じペースで走るのは厳しいブー」

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これこれ、お姉さんの頭を踏んでおるぞ

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お尻を出していると風邪ひきますよ

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お姉さんたちがラッパを吹いています

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回転木馬のノスタルジックな雰囲気は好きだけれど、実際にはどこの遊園地へ行ってもたいていスルー。なので今回は乗ってみました。
あら、思ったより楽しいわ~。内側・外側と三段階に分かれたスピードで回るので、内側や天井を眺めながら乗ると何だか異次元へトリップ。本当は日が暮れてからがもっと雰囲気あるのでしょうが、寒さに負けて帰りました。暖かくなったらまた行こう。

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としまえんは今どきの遊園地としてはぶっちゃけショボイのでしょうが、入場料は安いし(時間・曜日によっては500円から)、不況で苦しくても例のユニークなポスターや、最近ではコスプレイベントなど開催しコスプレイヤーが集っているようです。万人受けを狙うより、マイノリティーだけど好きなことにはお金も時間も使う層にターゲットを絞るというアイデア、頭の柔らかさが素晴らしいですね。
みんなももっと行ってあげて。

「としまえんのポスター」はコチラ
そういえば、狙ってるのは「世界遺産」でしたね(笑)

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「愛の渦」


「ここ、スケベな人しか来ちゃいけないんだよ」
セックスがしたくてしたくてたまらない人々。

今回は映画「愛の渦」
元は劇団ポツドールの戯曲で第50回岸田國士戯曲賞を受賞している作品だそうです。映画の予告を見たときはちょっと生々しすぎる気がして本編を観ずにきましたが、やっぱり面白かったです。
「無伴奏」の回で、「池松壮亮の良さがわからない」とのたまってしまいましたが、この映画でやっとわかった気がします。

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〈あらすじ〉
とあるマンションの一室でひっそり営業する乱交目的の風俗店。
参加費用は、男:2万円、女:2千円、カップル:5千円。
性欲を満たすため集まる見知らぬ男女。
シャワーを浴び、バスタオル一枚になり、注意事項の説明を受け、「では、さあどうぞ」といわれても緊張する他人同士。ぎこちなさのあまり、どうでもいいダイエットの話が止まらない女。やっと一組のカップルが成立、他の参加者もどうにかセックスに漕ぎつける。
雰囲気が打ち解けてくる一同だが、遠慮がなくなると揉め事も生じてくる。夜中の三時も過ぎた頃、今度は一組のカップルが訪れ──。

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〈キャスト〉
ニート:池松壮亮
女子大生:門脇麦
サラリーマン:滝藤賢一
保育士:中村映里子
フリーター:新井浩文
OL:三津谷葉子
童貞:駒木根隆介
常連:赤澤セリ
カップル(男):柄本時生
カップル(女):信江勇
店員:窪塚洋介
店長:田中哲司

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門脇麦演じる、地味でおとなしい女子大生。おそるおそる店を訪れ店長から、躊躇するなら帰ったらと言われるけれど、度胸を決めて参加する。(店長がコップに注いで勧める飲み物はカルピス)
無口でセリフが少ないけれど、いざセックスに及ぶと「あーーーー!!」とものすごい喘ぎ声(AV的なアンアン可愛い声じゃなくて、人目はばからず絞り出す声)をあげ、「先輩ーーー!!」と叫ぶ。何の説明が無くともそのひとことで彼女がここへ来た理由がわかる脚本、上手いですね。

池松壮亮、内気な青年役が良かったです。ぶ厚いくちびるから漏れる朴とつとした話し方。やっぱり私の萌えポイントはくちびるだから(笑)
股下を念入りに洗うシーン、女性ファンには嬉しいのかな。

OL役を演じているのが三津谷葉子とは最後のクレジットを見るまで気づきませんでした。「欲動」の大人っぽいイメージとはだいぶ違う可愛い系の役で。

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「保母ってみんなスケベじゃないですか?」という保育士。あ、そうなんだ? 看護師とかならエッチなイメージだけど。童貞くんとやるのはイヤだとごねる自分も、OLの子と比べると容姿が劣るといわれプライドぺしゃんこに折れたり、「店を大きくしようと思ったら~」と場違いなアドバイスして笑われるとこリアルでした。

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カップルも良かったなあ。冒険しに来たはいいけれど、いざ自分の彼女が他の男とやってるとこ見ると突然キレて、筋の通らない理屈で説教し出すの可笑しかった。彼女役の信江勇が可愛い。

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店員役に窪塚洋介。この人いろいろ事件がある前の、ドラマによく出ていた頃好きだったなあ。「ヘルタースケルター」でも相変わらず色気あるなあと思った。存在感ある人なので、あぶなかしい発言は控えてもっと活躍して欲しいんですけどね。

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「乱交パーティー」ですが、エロを求めて観るとややグロテスクに感じるかもしれません。
AVのように「いかにも」な喘ぎ声の綺麗系女性から、本能のまま叫ぶ女子大生やカップル女性。門脇麦の喘ぎ声が「ただ声を出しているだけ」的なレビューをあちこちで見かけましたが、あれはあれでよいのです。「喘ぎ声=可愛い声でアンアン」という思い込みはまったくAVの刷り込みで、世の女性の多くは「AVみたいな声を出せば男性が喜ぶから」半分、「自分を盛り上がるため」半分でやっていること。本能的に出る自然な喘ぎ声とは違うのです。
「何あれ」と人のセックスを見て笑い合うわけですが、まさに「人のセックスを笑うな」な悲喜こもごも。建前や駆け引きを取っ払ってまずセックスから始まる人間模様。
まとめ方も上手いですね。
体を重ねるうち女子大生に情が芽生えるニート。ラストの二人のやり取りが印象的。男と女って違うよね~。

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いかにも舞台らしいセリフ。舞台で上演したときは、安藤玉恵、岩本えり、内田慈など、ブス会*でおなじみのメンバーが出演していたようで、もっと早く知っていれば観てみたかったです。

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明けましておめでとうございます。
今回は石川啄木、えっ、短歌なんて興味ない? 私もつい昨日までそう思っておりました。啄木といったら、蟹とたわむれたり、母を背負ったり、はたらけどはたらけど、とか教科書で見たようなのしか知らず、フーンて感じでしたが、お正月休み中にある短歌を目にしまして、これも代表的なくらい有名だなんて知らなかった、オレってほんと無教養。

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不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五のこころ


わあ。読んだ瞬間、草に寝ころんだ啄木と視線が重なって空が見えたよ。視界には青い空と流れる雲だけ。視界の端っこに木の枝ぐらい見えるかな。空に吸われるよ。
なんて爽やかで青春でセンチメンタルでドリーミーで静かで明るい、たったこの三行!
啄木のイメージが変わった。というか、すごく知られてる作品なんだね、わあ恥ずかしい。
急いで本屋に飛び込んで、啄木の歌集買っちゃいました。
改めて読むと、ああ、これも知ってるな、これも啄木だったんだっけ、と聞き覚えのある歌はぽろぽろありましたが。

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どうやら十五歳のリアルタイムではなく、二十代になってから書いた歌のようですね。しかしこの歌は他の作品のようなノスタルジックな感じはあまりせず、読んだ瞬間、今、たった今、そこで寝ころんだような、あるいは自分が寝ころんだような錯覚を覚える不思議かな。読んだ瞬間、空が見えたよ。

教科書に載っている作品がもしこの歌だったら、もっと早く啄木に興味を持てたかな? それともやっぱり大人になってからでないと良さがわからなかったかな。
だって、海辺で蟹とたわむれる哀愁とか、わからなくもないけど中学ぐらいで読んでもね。親の金で当たり前のように生活してる年頃に、働いても働いても生活ラクにならなくて、といわれてもピンとこなかったし。親がたった一年会わなかっただけでどんどん老いていくのを実感するのも親元離れて生活してからだし。

啄木に限らず、俳句や短歌の古語が苦手で意味やニュアンスがわからないから良さがわからないパターン多いのです。外国語に翻訳されて外国人のほうがよく理解していたりする。けっこう悔しいんだけど。
「らむ」とか「けむ」とか文末の意味がわからないので挫折するんだな。でも今はネットの古語辞典で手軽に調べられるから、この際すこし勉強してみよう。

で、ネットで検索していたら、ヒットした「石川くん」
(朝倉世界一のイラストも可愛い)

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「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載されていたらしく、これも有名なようですが初めて知りました。
実は啄木って、女好きだわ、仕事はすぐ辞めるわ、借金は返さないわだったらしく、やっぱ芸術家ってそうこなくちゃね。
歌人・枡野浩一がユーモラスな解説とともに、啄木の短歌を現代口語にアレンジ。
たとえば、超有名なこれ、

たはむれに母を背負ひて
そのあまり軽きに泣きて
三歩あゆまず


   ↓

冗談でママをおんぶし
あまりにも軽くてショック
三歩でやめた

たいして親孝行してない人間ほど、親の老いにセンチメンタルになるものです、私もそうです。泣いてるヒマがあったら仕送りでもしろよ、です。


打明けて語りて
何か損をせしごとく思ひて
友とわかれぬ

これが ↓

打ち明けて話して
何か損をしたような気持ちでいる
帰りぎわ

うん、現代語だと胸にスッと入ってきますね。
わかるわかる、思い切って打ち明けたのに、わかってもらえなかったときのモヤモヤした気持ちね。

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一度でも我に頭を下げさせし
人みな死ねと
いのりてしこと


  ↓

一度でも俺に頭を下げさせた
やつら全員
死にますように


わあ、石川くんたら、こんな歌詠んでたんだ!? 
ストレートだね!


どんよりと
くもれる空を見てゐしに
人を殺したくなりにけるかな

   ↓

どんよりと
くもった空をみていたら
人を殺してみたくなったり


けっこう「死ね」とか「殺したい」言ってるのは現代人と変わらないかも。
あと、犬をいじめる子や、自分に向かって吠える犬の顔つきをやたら「よい」と褒めています。


誰が見ても
われをなつかしくなるごとき
長き手紙を書きたき夕(ゆうべ)

   ↓

全人類が
俺を愛して泣くような
長い手紙を書きたい夜だ

中二病だね。素直だね。
恥ずかしいことを素直に書けるから共感されるのだろうか。

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しっとりと
水を吸ひたる海綿の
重さに似たる心地おぼゆる


   ↓

しっとりと
水を含んだスポンジの
重さに似てる心の感じ


なんか好きだこれ。


夜寝ても口笛吹きぬ
口笛は
十五の我の歌にありけり


   ↓

寝る前も口笛吹いた
口笛は
十五の俺の歌だったんだ


これも現代語のほうがスッと入ってきます。
十五シリーズはいいですね。
バイクは盗んでませんよね。


大という字を百あまり
砂に書き
死ぬことをやめてかへり来(きた)れり


   ↓

大という字を百以上
砂に書き
死ぬのをやめておうちに帰る


啄木は肺結核のため二十代の若さで世を去りますが、もしもっと生きていたら自殺や自殺未遂などしたタイプでしょうか? それとも思うだけで度胸なく思いとどまるタイプでしょうか。

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その他、原文のままでも印象に残った歌をあげていきます。


或る時のわれのこころを
焼きたての
麺麭(パン)に似たりと思ひけるかな

心が焼きたてのパンみたいだなんて、今読んでも斬新ですね。
熱く香ばしく膨らんでいた心。


神有りと言ひ張る友を
説きふせし
かの路傍(みちばた)の栗の樹の下


いかにも十代な青さ。いたなあ、「神様はいる」と信じるクリスチャンの子と、「神様が存在するなら、なぜ世の中に戦争なんて起きるのか」と教室の隅で激論かわす同級生、思い出しました。


をさなき時
橋の欄干に糞塗りし
話も友はかなしみてしき


最後の「かなしみてしき」を古語辞典で調べて訳するに、
「子供の頃 橋の欄干に糞塗りつけた話さえ友はかなしみながら話した」で合っているでしょうか。悪タレな思い出まで悲しそうに話す友達の心持ち。
訂正:「かなしむ」は、「悲しむ」の他に、「可愛いと思う」「愛しい」の意味もあるようです。ほんと古語って紛らわしいわ。だったら、
「橋にウンコ塗りつけた話さえ懐かしみながら話した」かな。
欄干にウンコ塗ってんじゃねーよ、石川くん。


朝はやく
婚期を過ぎし妹の
恋文めける文を読めりけり


婚期を過ぎた上にラブレターを盗み読みされ、そのうえこんな歌を世間に発表される妹。こんな兄がいたら殴ると思う。


ふるさとの訛(なまり)なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聴きにゆく

都会に出てきた頃は、その訛りを直すのに一生懸命だったのにね。


浅草の夜のにぎはひに
まぎれ入り
まぎれ出て来しさびしき心


賑わう人混みに一人まぎれこんで一人で出てくる、さびしいね。


愛犬の耳斬りてみぬ
あはれこれも
物に倦(う)みたる心にかあらむ


いろいろイヤになったからって、愛犬の耳を切っちゃうのはどうなんだろう。


非凡な人のごとくにふるまへる
後のさびしさは
何にかたぐへむ


非凡な人のように振る舞ってみたあと。虚しいねえ。


よごれたる足袋(たび)穿く時の
気味わるき思ひに似たる
思出(おもひで)もあり


黒歴史。二度と穿きたくない。


目の前の菓子皿などを
かりかりと噛みてみたくなる
もどかしきかな


もどかしさの表現がユーモラス。石川くんが菓子皿に歯を立ててかりかり噛んでる姿を想像してしまう。


やはらかに積れる雪に
熱(ほ)てる頬を埋(うづ)むるごとき
恋してみたし


このロマンチスト! モテたわけだよね~。
中学で出会った初恋の人と結ばれ、その後も玄人女性と恋愛多数。身長は低いけど「可愛い~」って言われそうなその容姿。
ほてった頬っぺた雪に埋めて冷やしやがれ、このデコッぱち!

啄木の歌は静かな華やかさがありますね。

教科書で初めて会ったときはてっきり生真面目なカタブツくんと思っていた文豪たちも、実はけっこうそんな人たちだった。ぼんやりと不安で死んだ芥川くん、人間失格だった太宰くんも、仕事をサボり蟹と戯れてばかりいた石川くんも、親しみを覚えしは学校を出て社会人になってから。

↓ 写真から受ける奥様の印象は「髪の量が多そうな人」

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今年もよろしくお願いいたします。





古い絵本です。
「山のクリスマス」
小さい頃、年上の従姉からお下がりにもらった絵本でした。今見ると、まあなんとレトロで素朴な絵本でしょうか。
チロルの山々。チロルチョコのチロル。ところでチロルってどこなのか。勝手にスイスあたりをイメージしていたら、オーストリアからイタリアにまたがるあたりだそうです。知らなかったわ。

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絵と物語はルドウィッヒ・ベーメルマンス。マドレーヌシリーズというほうが有名らしいですが、私はそちらを読んだことがありません。
ベーメルマンスは16歳で故郷からアメリカへ渡り、経営するレストランに自分で描いた懐かしいチロルの山の絵を飾っていたところ、その絵に目を留められ絵本の出版に至ったそうです。白い雪の中の鮮やかな色味が温かい。

お話は、町に住む男の子ハンシが、山に住むおじさんのところで従妹のリーザールや犬のワルドルと過ごすクリスマス休暇のお話。特に大きな事件が起こるわけではありませんが、町に住む子が初めて冬の山で暮らす生き生きした日々の物語。

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ハーマンおじさんの家がどれだけ山の中なのかわからないけれど(おじさんの家からハンシの街の教会の屋根が見えるというくらいだから、現代の交通機関の感覚だとそうは遠くないのでしょうが)、子供の頃の汽車旅はすごく遠くに感じるものですよね。

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初めてお母さんから離れて暮らす休暇。
ハンシのうちはどうやらお父さんがいないみたい。お母さんは果物屋さんの屋台で働いている。
焼きリンゴ、ほしブドウのケーキ、はちみつのお菓子。屋外のソリの中で食べるあつあつのチロル風スープ。「外国のもの」に馴染みがなくて、いったいどんな味か知る術もなく想像の世界に想いを馳せたものです。

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大人になってからクリスマスに海外の取引先から会社にシュトーレンが送られてきて、外国のクリスマスケーキってこんなずっしり重くて地味なのか~と、生クリームとイチゴのフワフワやわらかくて華やかなケーキに慣れ親しんだ自分にはけっこうカルチャーショックでした。

教会。聖歌隊。ガチョウの蒸し焼き。素朴な遊び。
雪深い山の生活は寒いはずなのに、汽車の煙、セーターのぬくもり、火のそばで食べる甘いお菓子と、寒い中だからこそ感じるほっこり温かい物語。

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アマリーおばさんが古い帳面に集めたレシピとか、ハーマンおじさんの赤ちゃんの頃の写真とか、親戚が集まったときの懐かしい感じがします。

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子供の頃にふれた限られた数の絵本というのは、初めて外国を疑似体験する異文化への入り口だったと思います。
おじさんの家の絵も、外国の家って屋根裏や地下室があって部屋がいっぱいあるのかなあ、と飽きもせず眺めた記憶があります。

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↓ こういうベッド、子供の頃は憧れた

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↓ こちらは街のクリスマス 丸の内イルミネーション

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↓ たまに見ると綺麗な夜の東京駅

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