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高遠ユミ(yumi131ff)

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18世紀イギリスの官能小説「ファニー・ヒル」を読みました。
ジョン・クレランド(クリーランドとの表記もあり)作。
小林章夫訳で。
ヒロインが波乱万丈の過去を振り返り、「奥様」への告白(書簡)という形式で書かれた物語。

15歳で両親を亡くしロンドンへ出てきた娘ファニー。都会のやり手ババアに騙され、性の手ほどきを受け金持ち男に売られそうなところで、ハンサムな青年チャールズと恋に落ち、彼の囲い者に。幸せな日々を送るも、突然チャールズと引き離され、生活のためミセス・コールの娼館に身を置き、新しい愛人たちに引き合わされ様々な性愛の洗礼を受けてゆく、若い娘の性の冒険譚。

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(↑挿絵:エドゥアール=アンリ・アヴリル)

これもたびたび発禁処分を受けた作品ではありますが、暗さや後ろめたさは微塵もなく、世間知らずの田舎娘が恋や性の好奇心に逆らうことなく開花し、困難があっても前を向いてゆくうち、手練手管を心得た一人前の女へと成長してゆきます。
「O嬢の物語」のような高尚な感じではなく、庶民的で親しみやすく、新しいことに臆さずチャレンジし、生き生きと描かれるヒロインは女性にも共感を得やすいかもしれません。

娼館を仕切るミセス・コールは娼婦たちから搾取することなく親切で賢い女性だし、仲間たちとの間にライバル心や足の引っ張り合いもなく、お相手となる男性たちもほとんど裕福で優しくていい人ばかりで、ちょっと都合が良すぎるのでは、と思うところも多々あります。逆境に置かれても決してやさぐれることなく真っ直ぐな心を持ち続けるヒロインは、男性である著者の理想でしょうか。

フィナーレも少女マンガ的なハッピーエンドを迎え、いろいろ冒険しちゃった挙句言うのもなんだけど、やっぱり心から愛している人とのセックスが一番ですよ、って、そうかもしれないけど、オイ。
ひとりの女性の中に、様々な性的欲求に応えてくれる娼婦と、恋人(夫)が一番と思ってくれる貞女を詰め込んでみた、男性の願望でありましょうか。

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(↑挿絵:エドゥアール=アンリ・アヴリル)

性描写の華やかなこと、性器ひとつ表現するにも、「肉棒」と「濡れそぼった花びら」しか出てこない小説とはえらい違いで、大げさと言えば大げさですが、たとえばファニーが初恋の人に処女を捧げ、先に目覚めた翌朝、ぐっすり眠る恋人のアソコを目にし、
「太腿の中心にはあの恐ろしい大砲があるのですが、それを見ると、恐怖心も残るものの、同時に優しい気持ちも溢れてくるのです」
「今は首をうなだれて、半分帽子をかぶった朱色の頭を片方の腿にもたせかけ、静かにおとなしくしているのですから」
「美しく生えた茂みは短く柔らかに渦を巻いて根元に巻きついていますが、その下にある槍は白い中に編み目のように血管が浮かび、しなやかな柄は短くなって」
「太腿の間にあってこの槍を支えているのは丸い付属物で、自然の甘さが一杯に詰まったすばらしい宝物袋は皺だらけとはいうものの、同じ皺といってもこれだけは気持ちいいもの」
と、初体験の感動覚めやらぬ中、まだ見慣れぬものをなんとわくわく表現することでしょう。

また、最初の下宿先で女主人の逢引きを盗み見、年増女の使い古したアソコを見て、
「大きく口を開けた割れ目は、灰色がかった茂みに覆われ、まるで乞食がお恵みをと差し出す入れ物のようです」
と辛辣ながら、思ったまま率直な描写です。

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(↑挿絵:ピーター・ワグナー)

同性愛やSMなどいろんな性癖を持つ人を知り、
「どんなものであれ快楽は誰もが望むものだから、快楽をめざして吹く風は、誰にも害を与えない限りはすべていいものである」
「趣味嗜好とは食物の好き嫌いと同じように人によって千差万別で、その意味では理屈で捉えることができないものである」
とは、トーンがまったく違っていても、マルキ・ド・サドの小説に出てくるフレーズとほぼ同じ。

いやよいやよと口で言っても触ってるうちに感じてくる的なオッサン小説ともひと味違い、
「いつまでも触っていながら一向に満足させてくれない退屈な愛撫」
なんてリアルなところもあれば、
金づる客のことを、
「ええ、ここで恋人と言いましたのは、男がわたしたち女性を好き放題にいたぶるとしても、彼をカモだの間抜けだのと呼ぶのはいかにもちょっと残酷ですものね」
という辺りはやはり男性目線なのか、ずいぶん思いやりのある娼婦ですよね。

一難去ってまた一難の繰り返しにもめげず、
「じっくり構えて焦らず、次にどんな幸運が訪れてくるかを待とうと思ったのです」
と流れに逆らわず、堂々としたたかで、物のわかった女性に成長するファニー。

個人的には、女性の作者が書いた「O嬢の物語」のほうがぐっと退廃的な淫靡さで好きですが、テイストがあまりに違うので比較の対象にはならないかなと。
官能小説とはいえ清々しく、生と性の歓びに満ち溢れ、万人受けしそうな作品です。作者のジョン・クレランドは他にも沢山の作品を残したようですが、この「ファニー・ヒル」ほど成功に至ったものはなかったそうです。


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