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高遠ユミ(yumi131ff)

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「さあ、おまえの体を見せるんだよ」

お待たせいたしました、今回は「O嬢の物語」

1954年に発表され55年にドゥ・マゴ賞受賞。
ポーリーヌ・レアージュというペンネームの正体は誰なのか、ずっと謎だったようですが、ウィキによると、発表から40年を経た1994年にドミニク・オーリー(本名アンヌ・デクロ)という女性が自分が著者であると公に認めたそうです。
当時モテモテの文芸評論家ジャン・ポーランに恋していたドミニクが、特に美人でもない自分が彼の気を惹くための手段として書いたというから、なんとも可愛らしいではありませんか。

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(絵:金子國義

そのジャン・ポーランが序文を寄せる本作は、異様で、美しく、冷たく、優しく、とびきり官能的。
私はずっと以前に澁澤龍彦訳で読んで以来、ときおり読み返し、他の方の訳は読んでいません。澁澤龍彦の先妻・矢川澄子が下訳をされたようで、「悪徳の栄え」と同じく高尚でありながら、こちらはぐっと繊細で美しい文章であります。

〈あらすじ〉
女流モードカメラマンのOは恋人ルネにロワッシーの館へ連れてゆかれる。Oはそこに集まる男たちが求めるまま体を開くよう命じられ、独特の規律が敷かれた館で調教される。ときに下男にまで蹂躙される一ヶ月の生活を終え館を後にするが、普段の生活に戻っても「下着を身につけてはいけない」、「館の会員である印の鉄の指輪を嵌めた人物に出会ったらいつどこでもいわれるまま身を任せる」などの規則を言い渡される。
ルネの敬愛するステファン卿という人物に紹介されたO。やがてOはルネからステファン卿に正式に譲り渡される。ステファン卿の欲求に応え奉仕するOは、アンヌ・マリーという女性の館へ連れてゆかれ、ステファン卿の所有物として尻に焼印を押され、性器に鉄の輪を嵌めることになり─。

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束縛される歓び。
最愛の恋人の手で他の男たちの慰みものにされるという、現実に起きたらどうかと思うけれど、妄想ファンタジーとしては大変ゾクゾクする物語です。お約束の「鞭打ち」というものだけは、欧米のような鞭の文化が無いせいかピンとこないものの、恋人の手により他の男たちに差し出され、見ず知らずの男の愛撫に反応してしまうとか、後ろの穴が好きな男のために使いやすいよう拡張されるとか、マゾヒズムの基礎みたいな要素がぎっしり詰まって、なおかつ優雅でお洒落なんですね。

香水。口紅。絨毯やクッション、ガウンと踵の高いスリッパ、コルセット、ペチコート、毛皮、黒いプリーツスカートなど、女らしい柔らかさの中に、壁や鉄の冷たさがひときわ冴えわたる。

「連日連夜、いわば儀式のように唾液と精液で汚され、自分の汗と他人の汗を混じり合わせて、彼女は文字どおり、自分が聖書に出てくる汚わい溜め、下水になってしまったような気がした。が、それにもかかわらず、自分の身体の最も頻繁に痛めつけられ、最も敏感になった部分が、同時に最も美しくなったようにも思われた。無名の性器を含む口、たえず手でもみしだかれる乳首、無理に開かされる腿、快楽への共同の入り口である掘り返された通路、──それらが、あたかも高貴なものになったようにも思われた。肉体を穢されることによって、彼女は品位を身につけたのである」

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奴隷願望が誰にでもあるかどうかはわからないけれど、さて、それではOがもとから受け身な女であったかというとそうではなく、ゲームのように男を誘惑しては去り(一度は男に自殺未遂までさせている)、女にもたびたび手を出しますが、必ず主導権を握り、かなり男性的な戦歴の持ち主であります。しかしそんな女ほど実は自分を征服してくれる男を欲していたのか、ルネに出会うと、

「たった一週間ばかりのうちに、彼女は不安とともに確信を、苦悩とともに幸福を学び知ったのである」
「ルネは獲物を襲う海賊のように彼女に襲いかかり、彼女は嬉々としてその虜囚となった」
「ありがたいことに、彼女はもう自由の身ではなかったのだ」

しかし、最愛のルネからステファン卿へ、物のように譲渡され、やがてステファン卿を愛するようになる。ステファン卿もどうやらOを愛しているようですが、二人の間はあくまで主従関係。

出入りするのにノックはしないことになっているステファン卿の使用人・ノラ。
「たまたまOが事務机に身をかがめ、頭と腕を皮クッションに押しつけ、臀(しり)を突き出して、ステファン卿が侵入してくるのを待っているところへ、ちょうどノラが入ってきたことがあった」
「ノラはいつもなら、Oなどに見向きもしなかったし、それ以外の特別の動作を示すこともなかったはずである。しかしこのとき、ノラは明らかにOの目の中をのぞきこもうとしたのであった。(中略)Oには、それが激しいショックだったので、思わずステファン卿からのがれようとする身ごなしを示した。すると、ステファン卿はただちにそれを察して、片手で彼女の腰をテーブルに押しつけてのがれられないようにし、もう一方の手で、彼女をひらかせようとした。いつもなら最善をつくして応じようとする彼女が、心ならずもその身を収縮させ、すぼませてしまったので、ステファン卿は無理に押し入らなければならなかった。そうされながらも彼女は自分の腰の環がきつく縮まってゆくのを感じていた」

ロワッシーへと誘うことになるモデル・ジャクリーヌも魅力的で、つれなくそっけない美女ですが、本人の美しさとは対照的にひどく貧しい住まい。誘惑しながら芽生えるライバル心。

「きらきらした冷たい現像液の下で、ひどく青白く見える彼女の姿は、
まるで楽しげに溺死した女のようであった」

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最初に読んだとき、物語がずいぶん唐突に終わるんだなと思いましたが、あとから、著者が最後の章を気に入らず削除したとを知りました。他の翻訳者さんの本だと一応最後まで入っているものもあるようですが、私はいまだに読んでおらず、読みたいような読みたくないような、複雑な感じです。

映画にもなっていますが、肉感的な女性の身体で映像化されると、この無機質で冷たい(けれど芯は熱い)雰囲気が損なわれそうで、観たいような、観たくないような。ただのロマンポルノになっちゃうとガッカリですね。
(といいながら、後日観てしまいました。映画版の感想はこちら

ものすごく淫靡なのに、男性が描く調教物とは一線を画する。
「ああ~ん」「はうっ」みたいなセリフが一切無いのもその理由のひとつですが、あるほうが興奮するという方には物足りないかもですね。

デザートに登場する「ふすだしう」のアイスクリームがずっと謎でしたが、ピスタチオのようです。(ずっと卵豆腐のようなイメージだった笑)この小説が日本に紹介された頃はたぶんピスタチオなんてまだ知られていなかったでしょう。同じくまだ馴染みがなかったと思われるラズベリーはイチゴに訳されているようで、巴旦杏(はたんきょう)はスモモの一種らしい。クロワッサンは「三日月パン」(←このほうが洒落ている)

ちなみに、このブログのURLの「roissy」はこの物語の「ロワッシー」
(ロイズィーじゃないんです)から取ったものですが、けっこう使用されているようで、後ろに大きい番号をつけないと取得できなかったのでした。フランスの地名で、最近は「ロワシー」と表記されることが多いようです。


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