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高遠ユミ(yumi131ff)

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コクーン歌舞伎というものを初めて観に行きました。
歌舞伎自体が人生で三回目。おととしの「陰陽師」以来の歌舞伎、演目はやはり歌舞伎座で観て以来の「四谷怪談」です。
ポスターがスーツ姿でまあ斬新。

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実際にもスーツ軍団が舞台をザクザクと横切ったり立ち止まったり、そのうち現代だけでなく大正時代あたりの人たちも紛れ込み、ん? この雰囲気、山口晃の描く絵みたいだなと思いつつ、パンフレットを読むとやっぱり! 演出家の串田和美から依頼を受け、山口晃が舞台イメージのラフを描き下ろしたそうです。
そのラフってどんなのか見たかったけど無いので、現代と昔が入り混じる山口晃の他の絵を。
(↓ 馬とバイクが合体しているのです)

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借金取りがカンカン帽に金の腕時計、シャネルの手帳持ってるし、音楽は三味線でなくバイオリンやサキソフォンなど。演奏家たちの服装もレトロでサーカスの呼び込みのような、無国籍なような。

場所はシアターコクーン、回り舞台ではないので場面転換はそのつど道具を動かさなくてはいけません。山折れの屏風が壁になったり屋根になったり、黒子の代わりに黒スーツの俳優さんたちがササーッ、ススーッと舞台装置や道具を動かすのが何だかスタイリッシュ。お屋敷など立派なセットじゃなくてもまったく不足は感じさせない。ススキの揺れは人が揺すっているからこそのリアル。道具の動きも行き交う人々も緻密に計算されている。

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笹野高史など、歌舞伎役者ではない普通の役者さんたちも出演、今回はバレエダンサーの首藤康之が寝たきりの病人を演じていました。

私の中の按摩の宅悦のイメージは「小柄で肥ってハゲで汗っかき」なんですが、この宅悦さんは細くてシュッとしてこれはこれで存在感あるな、と思ってたら、片岡亀蔵さん、ああ~、「陰陽師」でも印象的だった人だ。

お岩の髪梳きの前に、伊右衛門を奪おうとするお梅がきらびやかな着物姿で立派な化粧台と共に登場し、やつれたお岩様のみすぼらしさが強調される。
中村鶴松のお梅ちゃんキラッキラしてました。

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歌舞伎定番の仕掛けは無いようで、「戸板返し」は別の手法で表現されていました。私が好きな「提灯抜け」も無かったけど、その代り白い四角い網みたいのから幽霊が抜け出てくるのも、おおーっ! あの仕掛け何? ストッキング? 教えて教えて(笑)
お堀の水を人で表すところもゾンビみたいでイイ感じに不気味。

戸板返し(戸板の表裏に死体を括り付ける)って実際にあった事件を元にしたそうなので、いつの世も残虐な事件は絶えないようで。
日本の怪談の定番「東海道四谷怪談」。私は決してホラー好きではないし、ホラーもどうせ見るなら美しい要素がある方がいいと思うのに、(美しい要素なら「牡丹燈籠」のほうが幽玄美なのに)、おどろおどろしい「四谷怪談」にはなぜか惹かれるものがある。

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現代ではテレビやネットに氾濫する他人のニュースを見て、まるで俯瞰の目で世界を見ているような錯覚に陥りそうになりますが、そういうものがまったく無く、自分の目で見るか、人の話に伝え聞くぐらいの範囲ことしか知らず、目の前の生活に必死な時代。
女を手に入れるために人を殺す男。
男を手に入れるために本妻の顔を爛れさせる女。
出世のため妻を捨てる男。
死んでも化けて蘇り復讐する女。

欲望もそれを叶える手段ももっと単純でなまなましく息をしている。
弱きを助け強気をくじく正義のヒーローもお代官様も現われず、弱い者は強い者の踏み台になるばかり。恨みを残して死んだ弱者は自力で復讐を遂げる。どんくさい正直者は馬鹿をみるのが世の常ですが、きっちり仕返しできる話は人気なのかも。
お岩と伊右衛門も仲の良い時期もあったんだろうに。

前にも書いたけど、私は京極夏彦の「嗤う伊右衛門」好きだったんですよ。(映画は観てないけど)

中村獅童の伊右衛門と中村勘九郎の直助はときどきユーモアたっぷりに今風で、魅力的な悪党二人。
中村勘九郎の直助は、軽い男風の悪いヤツだけど、どこか憎めない可愛さがありました。もろ肌脱ぐシーン満載で色気もあり、観客の足元まで転がっていって、ファンにはたまらないだろうな。

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四谷怪談が忠臣蔵と関係あるということも前は知らなかったけれど、忠臣蔵に興味がないのでそこは掘り下げず。(掘り下げれば、落ちぶれて傘貼りの内職をする伊右衛門の心境とかもっと違う見方ができるのかもしれませんが)

あ、直助とお袖って兄妹なんだっけ? えー、じゃあお岩様とお袖ちゃんは腹違い? じゃあ、お袖と直助は種違い? インタビューで誰かが「お岩とお袖の姉妹は血がつながっていない」と言ってるな。あー、もうシェイクスピアみたい。忠臣蔵の人間関係を知るとわかるのかもしれないけど、追及するのやめよう。

歌舞伎は敷居が高いと思っている人も、シアターコクーンなら行きやすいかと。こんな面白いものをいつまでも着物のオバサマやお嬢様ばかりに占領されるのはもったいないことだと思います。

禍々しい闇の世界から外へ出ると眩しかった。
そうか、そういえば昼の回だったのか…。

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コクーン歌舞伎「四谷怪談」
Bunkamuraシアターコクーン(渋谷)にて6月29日まで
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