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高遠ユミ(yumi131ff)

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連投します。
5月に逝去した蜷川幸雄が演出するはずだった舞台「ビニールの城」を観に行きました。
脚本は唐十郎、蜷川幸雄の代わりに演出したのは金守珍。

観劇経験乏しいワタクシ、蜷川演出の芝居で観たことあるのはテレビで放送された「シンベリン」と「元禄港歌 千年の恋の森」ぐらい。
唐十郎作品は去年の新宿梁山泊「二都物語」が初めて。
難解そうな芝居が自分の好みかどうかわからないけれど、迷うなら観に行け。
森田剛くん、もう少し若い頃(「学校へ行こう」の頃)の顔、かなり好きだったし、超個性派・荒川良々がどんな芝居するのか観たい!

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〈キャスト〉
朝顔: 森田剛
モモ: 宮沢りえ
夕一: 荒川良々

〈作〉唐十郎
〈演出〉金守珍
〈監修〉蜷川幸雄

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〈あらすじ〉
腹話術師の朝顔は、離れてしまった人形の夕顔を探すうち、バーで赤ん坊を背負う人妻・モモと出会う。モモは、かつて朝顔と夕顔が暮らしたアパートの隣の部屋の住人だった。
モモと夫の夕一はうわべだけの夫婦。夕一は献身的にモモに尽くすが、モモは朝顔に想いを寄せる。受け入れがたい朝顔。
モモは、朝顔の部屋にあったビニ本のヌードモデルが実は自分だったのだと明かす。
そして、恋敵でありながら不思議と朝顔と打ち解ける夕一は、自分が人形の夕顔だと言い出す。
ビニールの世界からリカが、モモを連れ戻しに来る。モモは人形・昼顔に朝顔へのことづけを託して去るが、人形は水の中に沈められ──。


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ひとことで言うと、予想通り「わけわかんない」のですが、解釈は人それぞれでよいようです。夢のような物語。

小柄なせいか、「永遠の少年」ぽく見える森田くん。
今やジャニーズといえばバラエティから司会までなんでも器用にこなす中で、「やりたくないことはやらない」(ように見える)頑なそうな雰囲気や、今どきのタレントらしからぬ「影」が魅力的。腹話術がんばってたね。(腹話術指導はいっこく堂だそうです)

そして荒川良々がすご過ぎる! もう「演じる」とかじゃなくて、舞台に出てきた瞬間「夕ちゃん」、ひとこと喋るたび「夕ちゃん」、咳をするだけで「夕ちゃん」、もう夕ちゃん以外の何者でもないほど夕ちゃんだった。
唐ファンと蜷川ファンとジャニーズファンが集い見つめられるあんな舞台で気負うでもなく、飄々と「夕ちゃん」。
もっと出番が多くてもよかった、もっと観たかった! テレビでも充分存在感あるけど、舞台役者は舞台で観てこそだと思わされました、大人計画とか他の芝居も見てみたくなりました。
(広告の配役・あらすじを見てからずっと「夕一」を「たー」だと思っていたら、「ゆういち」でした)

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ビニール本、電気ブラン、豊田商事事件。盛り込まれた時事ネタは、多分若い人にはわからない。私も電気ブランって知らなかった。カクテルの名前らしい。
初演の85年には「前衛」だったはずの演劇も、時が経てば解説がないとわからない古典落語のようになるのですね。

朝顔:「幸せは座りが悪いか!?」
「言ってくれ、勧誘員が長居しただけで、婆ァが何百万も出したそのわけを! 後になって嫌な奴だったというそのセールスマンに、婆ァは、なんで、お茶づけ出した!」

朝顔:「登校拒否の中学生が、八王子のホームで鉛筆をけずっていた。チビた鉛筆をにぎりながら、ホームの白線に長い長い退学届けを書いていた。さようなら学校、さようなら両親、そしてさようなら、十三までのヒヨッコ人生」


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オナニストであるとかないとか言ってますが、ビニール本(立ち読み防止にビニールで包装されたエロ本)ばっかりで、生身の女と向き合えない男というのが当時話題になったのですかね? 二次元にしか向き合えないって、最近だけの傾向じゃないのですね。
異性に限らず、現実の人間との付き合いができず、自分の世界にこもっているのが朝顔で、夕顔は内なる自分というか空想のお友達というか。
エロ本、二次元、もしくはネット上の相手には心の内を明かせても、実物と会うのは怖い。

これではいけないと自分で思ったのか、夕顔と一度は決別するものの、やっぱり大人になりきれず、夕顔を探して周る。

朝顔:「夕ちゃんは、この世で一番嫌いなのは子供だと言いました。その次に嫌いなのは、子供の心を持った大人だと。なぜなら、俺には成長した記憶がない。俺の正体を知っているのは、きっと俺を気味悪がる女だろう。その女は、俺への愛着と女への執着をきっと天秤にかけるだろう。そして、お前は、俺よりも女を選ぶ」
水丸:「人形が言ってるんじゃないでしょう。あなたがあなたに言ってるんです」

引田:「たとえ、なくした人形の夕一に会えたところで、物体に帰ってゆこうとする人形の心を引きとめることができんのか?」

異性云々とはまた別に、大人になり、考え方が丸くなってくると自分がつまらなくなるんじゃないかと思った時期を思い出しました。妥協せずとんがっている人が、幼くも眩しく美しく見え、葛藤しつつも、もう後へは戻れない時期のことに思えました。

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夕一:「僕らはそろそろ別れ時だね、と僕は言いました」
「ちょうつがいがこわれて、もううまく笑うこともできないし、それに」
「そろそろ、きみもナマ身の女に会わなければいけない。こんな僕とおしゃべりしているようでは、いつか現われるそんな人には愛されないよと。あなたはいいんだと言いました。でも、別れなければならないと僕が言った以上、やはり、これは別れてゆくもんなんだと僕はさとした」
「だって、朝やん、これは僕が言い出したんじゃないんだぜ、朝やん、きみのお腹の中の声が言ったんだからと僕は言った」

↑ そして私は、ここに出てくる「ちょうつがい」という言葉になぜか惹かれた。蝶番(ちょうつがい)。ちょうつがい萌え。
↓ ここも

モモ:「のどに手を入れてあげた時だって、あなたは言った。汚れた手をつかみながら、いつか、この手のところに帰ってくるって。自分は、いつも、背中から手を回し、夕ちゃんの舌を動かす。舌と唇のちょうつがいがこわれた時も、あなたが、今、僕ののどに手を入れてくれたように、人形の口に手をさし込み、かみ合うように直してやると。しかし、この今夜まで、人の手が、僕ののどに入ってくるとは思わなかった。その手は、メスのように、闇を抜けてきた魚体のように、僕ののどにとび込んだ」

なんだかわからないけどエロティックだな。

モモ:「いつかフキのつくだにをあたし煮て、お昼時にあんたの部屋に持って行ったら、あんた、パンにぬったマヨネーズを頬張って、好物です、これ好物なんですと言ってくれたことあったわね。あの口のはしについたマヨネーズ、あたし、その時思っていました」
朝顔:「あれは、おかずがなくてぬっただけなんですから」

↑ 森田くんが口の端にマヨネーズつけて、「好物なんです」と焦って言い訳してたらメチャクチャ可愛いな。モモでなくても胸キュンとなる。

それにしても、自分のヌード写真を胸にかき抱く男をアパートの壁の穴から覗き見て恋する女ってコワイわ。私みたいだわ笑

夕一:「女にあきらめの時はありません」

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「二都物語」と同じくこの芝居もやっぱり水をふんだんに使っていて、前方二列ぐらいの観客は水除けビニールシートを持っているのも同じ。一本しか観たことなくて知らなかったけど、唐さんのお芝居には水がつきものなんですね。
突然の音、光、水、次々飛び出す仕掛け。「二都物語」で赤い回転木馬や痰壺のまじない、包帯ぐるぐる巻き少女を見たときも思ったけど、きっとアングラ劇の全盛期には、次は何をやって観客を驚かせようとワクワクしながら奇抜なアイデアを繰り出していたのでしょうね。

今回バルコニー席で観たので、舞台の斜め上から見下ろす感じで、森田くんや宮沢りえの声はどうしても前方へ向かうので時折聞き取りにくいのですが、それ以外の役者さんたちのセリフはちゃんと上にも響いてました。会場いっぱいに届くような舞台用の発声法が身についているのでしょう、そこはアイドル組と元々舞台役者組の違いかな。


朝顔の、「遠くから来た人をそまつにしないでください」というセリフ、なぜか芝居の中身と関係なく、わざわざ遠方からこの芝居を観るために来たであろうお客さんのことのように聞こえてしまいました。

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難解だけれど「詩的」と言われる唐十郎のセリフ、理解しようと一生懸命聞いてしまうと脳が追いつかなくて疲れてしまうのですが、それでもスッと耳に入ってきて印象に残るフレーズが多々あります。
で、リアルタイムで理解できなかったり、聞き取れなかったセリフをもう一度おさらいしてみたくて、この戯曲が掲載されている「悲劇喜劇」9月号(会場にて販売)を買ってみたのでした。

クスクス笑える箇所もたくさんあるのですが、ダジャレみたいなセリフはもうちょっと少なくても良かったかなーと思います。やっぱ二時間で収めようとすると全体的に早口なので、ダジャレを削って素敵なセリフをじっくり聞きたい気がしました。

「笑うと、口の中から、夕顔が咲き伸びる」
「夕方の底で、仰向けに寝て、口から夕顔を咲かせている」人形は、
言葉で聞くと素敵だったけど、実際の人形の口からプーと花が咲く光景はちょっと滑稽だったな。

あまり難しく考えずに目と耳で感じたものを楽しめばよいのでしょう。

蜷川幸雄演出の芝居はDVD化されているのも多いようなので、ぜひ観てみたいです。
個人的には、アングラ劇なら唐さんより寺山修司、時代物なら井上ひさしの作品あたりが好みかもしれません。
といっても寺山修司は「毛皮のマリー」、井上ひさしは「雨」(これはテレビで)しか観たことないのですが、この二つはとても好きでした。
過去に森田くんが出演した「血は立ったまま眠っている」も観たいけど、ジャニーズ絡みは版権が難しいのかな。ぜひDVDにしてほしいです。

パンフレットまで「ビニ本」でしたが、このビニールが丈夫すぎて破れなくて! 指でちぎれないほど強力ってどういうこと? 買ってすぐ開けてみたいのに、出先なので刃物は持ってないし、しかたなくボールペンの先で突き破りました。なにもあんなに頑丈でなくても…笑

「ビニールの城」 
渋谷 Bunkamuraシアターコクーンにて 8月29日(月)まで

↓ 戯曲「ビニールの城」載ってます

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