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高遠ユミ(yumi131ff)

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雨宮まみ


雨宮まみさんの訃報を知りました。
「女子をこじらせて」で、女としての自分をうまく乗りこなせない多くの女性の共感を呼んだ雨宮さん。それまでたぶん、「こんなことでうじうじ悩んでるなんて、人には言えない」と思っていた女性たちから、「そうそうそう、私もそう! 雨宮さんならわかってくれる」的な勢いで慕われたライターさん。
ブスと言われ、女らしいことが何ひとつ似合わないと思っていた学生時代から紆余曲折あり、世に知られた頃は「どこがブスなの?」と言われるくらい綺麗になっていた。私も過去のイベントでご本人を間近で拝見しましたが、本が売れてやりたいことが軌道に乗り自信がついてきて、でも成功したからといって自信過剰ではない控えめな姿勢がお世辞抜きに美しかった。

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「女子をこじらせて」を読んで、その正直な告白に心打たれた人は多いと思います。カッコ悪い行動や弱かった精神面もそうだけど、それに付随した性欲とか、「泣きながら8回もオナニーした」など赤裸々にぶちまけるところにも拍手を送りたかった。だってそれまで普通の(女性AVライターという変わった職業についていたにしろ)女性が顔出しで性欲やオナニーについてここまで赤裸々に語るって、少なくとも自分が知ってる範囲では読んだことがなかったから。どうしてもどこかカッコつけているか、もしくは風俗業などを経て必要以上に自虐的なことを書くという人ならいたかもしれません。
精神的にも肉体的にもここまで掘り下げて書いてくれる人、もっと早く出てきて欲しかった。

雨宮さんを知ることでペヤンヌマキさんなど知り、以来ペヤンヌさんのお芝居は毎回行っているのに、雨宮さんの著書は「女子をこじらせて」と対談集「だって女子だもん」以降は読んでいません。辛いことがあって参っているときはすがりつきたいほど心の支えになる文章も、勝手なもので、自分が元気なときにはあまり目にしたくない、要は、自分と向き合うというキツイ作業は何かつまずいたときにしかしたくないからかもしれません。

書くことを職業にしてしまった雨宮さんは、自身がどんな状態であろうと世間から求められることを延々書かなければいけなかった。プロだから、それで食ってるのだから当然と言ってしまえばそうなのだけれど、テーマがテーマだけにしんどいことも多いだろうなと思いました。笑い飛ばせる日もあれば、人の悩みにつき合ってる場合じゃないという日もあったでしょう。

「私の仕事は、アイデンティティと結びつきやすい仕事です。だからこそ、結びつけすぎると命を縮めます」

依頼される仕事がいまだに「こじらせ」や「30代女性のための」であることに、そういうのはもう書いてしまった、違うことが書きたい、でも仕事としてやるべきか、というジレンマがあり、40歳になる今年は一年だけ欲望に忠実に、あとから「本当はあれがやりたかった」ということのない年にしたいと願っていたようです。
今それを読むと、生き急いでいたように思えないこともないけれど、深読みしすぎかな。プライペートがどうだったなんて、ブログに書かれている以上のことは知る由もない。

「~そんなことがあって以来、私は自分の感情のすべてが絶対だとは信じなくなりました。もちろん、その瞬間には感じていることがすべてですし、全力で好きだと思い、失えば全力で傷つき悲しむのですが、心のどこかで1ミリぐらい「このことも、過ぎてしまえば痛みをあまり感じなくなるのかもしれない」と思うのです。不思議なことに、そのことが希望をもたらしてくれるのです。心が痛む数年の間、ときにはもっと長い間、「いつかは何も感じなくなるときが来る」と思えることが、心の支えになるのです」

そんなふうに思っていても人の気持ちは毎日変わるものだし、ある瞬間ポカッと開いてしまった闇に吞まれることもあるでしょう。

「楽しいこともつらいことも、フラッシュライトが点いたり消えたりするときに明暗が通り過ぎていくようなもので、その瞬間ごとに見えている世界がまるで違うような感じなのかなと思うんです。めちゃくちゃだけど、そんなもんなのかなという気もするんです」

本当に、だって人の気持ちって、ちょっとしたことや、誰かのひとことで天国から地獄、または地獄から天国ぐらい変わることがあるのです。辛さも時間が経てば~って経験上わかっているんだけど、その癒えるまでの時間が耐え難かったりする。

訃報を聞いてから、WEB連載「穴の底でお待ちしています」と「40歳がくる!」を読みました。「穴の底で~」は読者の誰にも言えない愚痴を聞く連載で、悩み相談ではないといいつつ結果的に相談になっているのですが、決して上から目線になるでもなく、一般的な正論で片付けることもなく、またどんな愚痴にも「あなたの悩みなんかたいしたことではない」とはいわない、それぞれの投稿者に沿う優しさに満ちています。

ネット上では、「メンヘラ」だの「やっぱり結婚したかったんじゃないの、かわいそうに」的な薄っぺらいコメントを見かけ、おまえら、雨宮さんの文章ちゃんと読んでから言えよ! と遠ざかっていたにもかかわらず吠えたくなったというか、私こそこんなときだけファン面するなと言われても仕方ない人間ですが、そこらの偉そうなインチキカウンセラーやしったかぶりな連中に正座させて読ませたいぞ。

「私は自分のつらさを話したときに、「地球上には飢餓に苦しんでいる人もいるのに、君の悩みなんか贅沢な悩みだ!」と説教されたことがありますが、自分よりつらい例を見て「自分なんてまだまだ幸せなんだ!」と、「下を見て安心する」みたいな思考が健全だとは思えません。「今の生活のありがたみを噛み締めろ」ってことかもしれませんが、もちろん噛み締めてますし、それでもつらいことはあるし、そもそも「もっと幸せになりたい」と思うことの何がいけないんでしょうか」

「女子をこじらせて」の巻末の久保ミツロウさんとの対談で、
「三十代も半ばになって今さら『親の教育が~』とか、親のせいにするのもろくでもないと思う」
と、アダルトチルドレン的な要素を否定していたけれど、「40歳がくる!」で今年書いていた記事ではやっぱり親との葛藤を描かれていた。(愛されていることも認めながらね。「女子をこじらせて」の中では東京で挫折するたびに実家へ逃げてご両親も優しく受け入れているし)

「九州の長女は、父親を倒さないと外の世界に出られない」

「親には親で考えがあったのだろう。溝が生まれたきっかけはしょうもないけど、私にとってはしょうもなくなかった。やりたいことができない状況は、大人になってもある。けれど、できる状況でそれを誰かに禁じられるのも、したくもないことを強制されるのも、我慢ならない。私は、好きなことをやる。快楽的なものを貪って、傷ついてもいい。霞を食って生きて、不安でもいい。私には父の人生は、わからない。私が父の人生を本当には知り得ないように、私は父の生きなかった人生を生きる」

こじらせもアダルトチルドレンも、自分がこうなった原因を探し分析することはできでも、ではこれからどうやったら幸せになれるのか、というマニュアルがあるわけではありません。結局手さぐりで、どこまでも自分との闘いです。

「女子をこじらせて」は今読み返すと、照れ隠しに自分ツッコミを入れながら書いている部分も多いですが、それをしなくなって済むようになってからの無駄のない文章は引用したい箇所が多すぎです。いやいや、もう、ここ名言だね、というところが多すぎて、全部引用したいぐらいですが、誰のブログかわからなくなるので、読んだことない方にはぜひ全文をじっくり読んでいただきたいです。

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「人目を気にせず生きろ、と言うのは簡単ですが、私には言えません。人と関わる限り、人の視線はついてきます。人の視線でがんじがらめになっては「こんなに苦しい思いをするくらいなら、人の視線なんかもう気にするものか」と誓うことを繰り返して、私は生きています」

「強いと思われなくていい、かっこいいと思われなくていい、立派な人だと思われなくていい。一度は確かにそう思ったのに、そう思い続けることは今でもとても難しいです。立派な人だと言われたくて、この文章を書いています。自分のために生きればいいんだと思うけれど、人から感謝されることは気持ちがいいし、そういうものを求めてしまいます。私の人生はかっこつけようとする自分と、かっこ悪い自分をさらけ出すことの戦いで、シリアスなものと間抜けなものが入り交じった、少々わかりづらくて滑稽なものなんだな、と最近は思っています」

そして、とても最近の記事で知人から、
「ネタに命賭けちゃダメだよ」
「いくら面白いものが作れるかもしれなくても、命取られるとこまで追っちゃ、だめだよ」
と言われている。お互い生きていてほしい、と書いている。

「だって女子だもん」の能町みね子さんとの対談で、「幸せになったら面白くなくなるんじゃない?」と言われることに対し、「結婚とかして幸せになって、書くことつまんなくなったらそれでいじゃん」と言っている。
私も、この人はなんだかんだいって結婚して幸せになるんじゃないかと思っていた。

「今はいいけど、これで45歳とかになっても「結婚できないんです~」って自虐ネタやってたらキツイよなって思うんだよね」
いやいや、当時35歳ぐらい(?)でも充分キツかったから(笑)
私は雨宮さんより年上だし(というと、こっちこそいい年して本当にカッコ悪いけど)、もっと早く、自分の世代にこういう人がいてくれたらよかったと思いました。
結婚したらしたで、しなかったらしなかったで、心境の変化なり、変化しないなり、ネガティブにでもポジティブにでも書いてくれれば励みになる人はたくさんいたと思います。読者だっていつまでも20代・30代ではないのだから、読者と一緒に年を取っていって欲しかった。

比較するのがものすごくヘンなのはわかっているけど、博多駅前の道路陥没があんなに早く修復されて、日本ってすごい、やっぱりこの国に生まれてよかったと思い、そして、こんなに素晴らしい国なのに、こんなに生きにくいってどうしてなんだ、とやるせない気持ちです。

「夜明け前がいちばん暗い」
とは、「穴の底でお待ちしています」の中で雨宮さんが投稿者にかけた言葉ですが、夜明けを待たずに一番暗いところに嵌ってしまったのでしょうか。いろんなものから解放されて、やっと楽になったでしょうか。
たくさんの人があなたの言葉に救われたと思います。
もちろん私も。ありがとうございます。
雨宮さんの本は、10年、20年経ってからきっとまた次の世代に読まれると思います。リアルタイムで雨宮さんを知らない女の子たちが、「ここに私のことが書いてある!」と、夢中でページをめくるときが来ると思う。
心からご冥福をお祈りいたします。

「穴の底でお待ちしています」
「40歳がくる!」




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